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第1654話(フレイン視点)

 まずはリビングの家具を動かし、軽くモップをかける。  綺麗に見えてもやはり汚れは溜まってしまうようで、サッとモップがけをしただけなのに白いモップが薄汚れてしまった。  どうせならアクセルが帰ってくる前に家中ピカピカにしちゃおう……と、リビングの後はキッチン、洗面所、風呂場と、順番に掃除していく。風呂場を掃除している途中で夕方になってしまったので、ひとまず切り上げて夕食を作った。もちろんピピの分も忘れずに。  ――それにしても……。  気になるのはやはりトーナメントの結果である。引き分けはどのような扱いになるのか、ルール上は何も記載されていなかったはずだ。  ヴァルキリー達のことだからルール作りが雑なのは百も承知だけど、いざこういうイレギュラーなことが起きた場合、困るのは戦士(こちら)側だろう。  とりあえずトーナメント表を確認しに行って、結果に納得できなかったらヴァルキリーに異議申し立てをしなくては。  そう思い、夕食後フレインは暗い夜道を歩いて世界樹(ユグドラシル)前のトーナメント表を確認しに行った。  本来ならその日のうちに赤ペンで勝ち上がり記録がつけられているはずだが、アクセルとアロイスの欄だけは何も記載がなかった。引き分けという結果を出してしまった以上、ヴァルキリー達もどのような扱いにするか悩んでいるようだった。 「あれー、フレインだ。こんな夜遅くに珍しいねー」  誰かと思ったらミューだった。小さな身体に大きな首切り鎌を背負い、ペロペロキャンディー片手に歩いている。今更だけど、随分シュールな光景だ。  フレインは微笑みながら答えた。 「トーナメント表を確認しに来たんだよ。昼間は混雑してて確認が面倒だからね。ミューこそ、こんな夜遅くにどうかしたのかい?」 「んー、ただの散歩。夜の方が静かで風が気持ちいいんだよねー」  などと言っているが、おそらく面倒なトラブル防止という意味もあると思う。

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