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第1656話(フレイン視点)
「というか、フレインとアクセルは地上に降りたいって思うことあるー?」
「ああ……そこまで興味ないかな。観光するのは楽しそうだけど、里帰りしたくなることはないよ。少なくとも私はね」
弟は若干興味あるみたいだけど……と、心の中で付け加える。
するとミューは、ヘラッと笑ってこう言った。
「そっかー。まあフレインはその辺ドライだから何とも思わないのかもだけど、なんか里帰りしたいって思ってる人もそこそこいるみたいだよー。ヴァルキリーの管理から解放されたら、そういうのも自由にできるようになるねー」
「ああ……うん、まあそうか」
「トーナメントが終わったら、また革命起こしちゃうのもアリかもー。今度は本格的に、ヴァルキリーからヴァルハラの管理権を奪還してみるー?」
「ええと……それはまあ、おいおい考えていこうね」
適当に言葉を濁したものの、ミューだったらノリノリで革命を起こしそうで末恐ろしい。
――管理は杜撰だけど、ヴァルキリーも弱くはないからなぁ……。
戦士ランクで例えるなら、五〇位以内には入るのではなかろうか。しかも彼女たちは魔法を容赦なくぶっ放してくるので、単純な戦力なら肉弾戦オンリーの戦士 より強いと思う。
ミューくらいの化け物戦士ならまだしも、普通の戦士では到底太刀打ちできない。
そもそもヴァルキリーの数だって少なくはないし、本気で革命を起こすつもりなら緻密な軍略も必要となってくる。こんなところで適当に決める話ではない。
ただ――傲慢で上から目線のヴァルキリーどもに泡を吹かせるチャンスがあるなら、全面的に乗っかってみるのも悪くないと思っている。
彼女たちの管理にはいい加減うんざりして来たし、ラグナロクが終わってしまった今、以前と同じように管理される筋合いはない。
――まあ、何十年もヴァルハラで生きていたら、いずれそういう革命の機運も高まってくるかもね……。
そんなことを考えつつ、フレインはミューに視線を戻した。
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