1657 / 2296
第1657話(フレイン~アクセル視点)
「じゃあ、私はそろそろ帰るね。あまり夜更かしすると身体に悪いし」
「へえ、珍しいねー。フレイン、夜更かしするのが当たり前なのに。今日はアクセルいないから我慢してるのー?」
「ははは、まあね。下手に夜更かしすると、また弟に怒られちゃうからさ。……それじゃ、また」
フレインは早足で自宅に戻り、着替えてベッドに入った。
できれば弟が夢に出てきてくれるといいな……と思ったが、残念ながら何の夢も見られなかった。まあいつものことだ。
***
「……!」
明るい光を瞼の裏に感じ、アクセルは目を覚ました。
棺の蓋は開けられており、蘇生が完了したことを示していた。
「…………」
ゆっくりと身体を起こす。復活した直後はいつもこんな感じで、ボーッとしがちだ。
普段起床する時はここまでボーッとしないのだが、やはり復活時は頭が冴えない。
まあ、ほとんどの戦士はみんなこんなもんだろうと思うが……。
「起床ッ!」
「うわっ……!」
近くから元気な声が聞こえ、続いてガターンと棺の蓋がズレる音がした。
びっくりしてそちらを見たら、アロイスが棺から起き上がって伸びをしていた。
「ア、アロイス……? 復活直後から元気満々だな」
「おっ、アクセルも今起きたところか! おはよう! 今日もいい天気だな!」
「あ、ああ……そうだな……」
……どんな事象にも、一部例外はあるものらしい。
――元気だなぁ……。さすが体力バカというか……。
内心呆れつつ、アクセルも立ち上がって棺を跨いだ。そして軽くストレッチをした。
どのくらい寝ていたか知らないが、ずっと仰向き状態だったので筋肉が凝り固まっているようだ。
「それにしてもいい死合いだったなー! まさに命を燃やし尽くした戦いだったぜ!」
「俺も全力を出せたよ、ありがとう。……ところでアロイスは、どっちが勝ったか聞こえてたか?」
「いや、全然。オレ、ヴァルキリーのアナウンスがある前に死んだっぽくてさ。結果は聞いてないんだわ」
「そうか……実は俺も聞いてないんだ。ちょっと確認しに行ってくるか」
ともだちにシェアしよう!

