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第1729話※
アクセルは大きく息を吐き、ぐっ……と小太刀を握り直した。そして痺れかけた唇で言った。
「……わかりました。俺が負けたらあなたの好きにしてください」
「なんだよ、急に物分かりがよくなったじゃねぇか」
「その代わり、俺が勝ったらあなたは狂戦士についてちゃんと調べてください。本当に覚醒できないのか、他に覚醒させる方法はないのか、きちんと調べて、狂戦士になる方法を模索してください」
「……あ?」
「オーディン様の戦士 に選ばれた人が、狂戦士の素質がないなんてどう考えてもおかしい。きっと何か原因があるはずなんです。だからその原因をちゃんと追究してください。こんな風に、狂戦士になれる人に八つ当たりしたってあなたの状況は変わりません。一時的なストレス発散にはなるでしょうけど、コンプレックスは解消されないまま、ずっと同じことを繰り返してしまいます。そんなのヴァルハラに来た意味がないでしょう」
「てめっ……!」
「だから……俺が勝ったら、あなたは金輪際娼館での遊びはやめて、自分自身に向き直ってください。狂戦士になる努力をしてください。……いいですね?」
「っ……!」
ナダルのこめかみに血管が浮き上がった。
気に障ることを言われて頭に血が上ったのだろう、顔がだんだん赤くなってくる。
「上等だゴルァ! 誰が半人前のクソ狂戦士 に負けるか!」
激昂したまま、ナダルが仕込んだ矢を一斉射撃してくる。
アクセルは残った力を掻き集め、二振りの小太刀を思いっきり振り下ろした。
「……ハアァッ!」
小太刀から巨大な風の刃が飛び出してきた。それはスタジアム全体を這うように移動し、真っ直ぐナダルに向かっていった。
「げっ……」
ナダルの小さい呻き声が聞こえた。
スタジアム全体に及ぶ風の刃を回避する術はなく、ナダルは首と胴体を切断されてあっさりと絶命した。
ナダルを切り裂いても風の刃は止まらず、観客席の一部を破壊してようやく勢いを失った。
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