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第1876話
「……何を仰るか。兄上の加護は神々の中でも随一だぞ。そんな御守りを持てるなんて、お前は幸運だよな。俺の方が欲しいくらいだわ」
と、ホズが口を挟んでくる。彼は相変わらず、「兄上 大好き」のようだった。少し安心した。
そんなホズを嗜め、バルドルがお茶やお菓子を勧めてくれる。アクセルも少し味わった。
「そう言えばきみたち、新たに透ノ国を管理することになったんだって? ヴァルキリーたちから聞いたよ」
「え? ああ……まあ、そうですね……」
いろいろなことがあったせいか、そんなことすっかり忘れていた。ほとんど勢いで承諾したのもあり、今更ながら面倒な仕事がのしかかってきた感じがする。
近いうちに、また透ノ国の様子を見に行かなくてはならないのか……憂鬱だ。
――というか、もっと簡単に訪問する方法はないものか……?
透ノ国は世界樹 で繋がっていないから、訪れるにはいちいち谷底にダイブしなければならない。毎回あの谷底に落ちていくことを考えると、面倒臭いし胃が縮みそうになる。
帰る時だって大きな木を登らないといけないから、せめてもう少し行き来を簡単にしたいところだ。
「あの、バルドル様。透ノ国って、そもそも何故世界樹 と繋がっていないんですか?」
純粋な疑問だったので質問してみたら、バルドルは少し首をかしげてこう答えた。
「ああ……そう言えば何でだろう? 私もハッキリと理由を聞いたことはないんだよね」
「……え? そうなんですか?」
「透ノ国に関しては、私たちの管理が及ばない別世界だから。正直、よくわからない部分が多いんだ。そういう、『よくわからない世界』とアース神族の世界 を世界樹 で繋いじゃうのが不安だったのかな」
「いや……大方、予言の巫女を外に出さないための手段だろう。あの巫女はあまりに自由気ままで、放っておくとどこで何をしでかすかわからなかったからな。一ヵ所に留めておくには、世界ごと切り離すしかなかったんだろう」
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