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第1877話

 ホズが別の意見を述べて来る。なるほど、確かにそういう一面もありそうだ。  ホズの発言に理解を示しつつも、アクセルは首をかしげた。 「でも、今はもう予言の巫女はいません。その不安は解消されたはずです。なら世界樹(ユグドラシル)と繋いじゃってもいいんじゃないですか?」 「うん……確かに、アクセルの言うことも一理ある」  バルドルは一度頷き、にこりと微笑んで言った。 「じゃあ、透ノ国が繋いでも安全だってわかったら私に教えてくれるかい? 世界樹(ユグドラシル)に繋ぐ手続きをしてあげる。あそこは特殊な場所だから整備するだけでも大変そうだけど、困ったことがあったらいつでも相談しに来てね」 「あ、ありがとうございます。頑張ります」  その後は軽くお茶とお菓子を食べ、一時間くらいでお暇することになった。  バルドルは「泊って行ってもいいのに」などと残念がってくれたが、仕事が山積みなので丁重に断った。 「うーん……バルドル様も意外と食えない方だね。安全だとわかったら教えてくれなんて」  帰り道、兄がそんなことをボヤき始める。  意味がわからなかったので、アクセルは「はて」と兄を見返した。 「? 何がおかしいんだ? 普通のことだろ?」 「いや……その安全の基準がさ。具体的にどういう状況なのかわからなくない? 何なら今の状況でも十分安全だと思うんだよね。トラブルを起こす要因が何もないんだもの」 「それは……確かに……」 「バルドル様も、透ノ国に誰もいないことは承知しているはずだ。にもかかわらずああいう言い方をしたってことは、もしかしたら最初から世界樹(ユグドラシル)と繋ぐつもりはないんじゃないかって」 「ええ……? そんな……」  そう言われると、納得できなくもない。  ストレートに断るのは心証が悪いから、さも応援しているような口振りで遠回しに断っていたのか。そんなことするくらいなら「それはちょっと無理かな」と言ってくれればよかったのに。

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