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第1978話

 滅多に使わないが、兄の御守り同様肌身離さず持っている。バルドルから託された本物の神器だから、下手な防具よりずっと強力だ。  するとホズは、ふっと小さく息を吐いた。 「そのヤドリギは大事にしろよ? レプリカと違い、本物の神器だ。いざという時の助けになる」 「では、兄上たちが心配する前にさっさと仕事を終えるとしよう」 「はい」  アクセルは深く頷いた。  兄・フレインはいないが、ホズもいるしヤドリギ(ミストルティン)もある。  何が起きるかまだわからないけど、きっと何とかなるだろう。必ず魔石を破壊してヴァルハラに帰らなくては。  ――兄上も、今は救助作業頑張ってるだろうしな。  兄のことだから、山に入って見つけた獣を手当たり次第に狩っているかもしれない。うちの食料もなくなってきているし、大物を見つけて肉を大量に手に入れてくれればこちらも助かる。  また今度兄上と狩りにでも行きたいなぁ……などと考えていると、 「……!」  ガーディアンの気配を感じ、アクセルは反射的に岩壁に隠れた。ホズもすぐさま壁の窪みに隠れた。  ほとんど足音もなくガーディアンが近づいて来て、周囲を見回した後、再びのしのしと通過していく。頭にレーザーランプらしきものが装備されていて、光に照らされやしないかずっとヒヤヒヤしっぱなしだった。 「……もう出てきましたか。なんかいつもより出現が早いですね」  隠れていたところから出て、ホズと合流する。  その場に長居するのは得策ではないので、歩きながらひそひそと話をした。 「というか、以前は頭にランプなんてついていなかったんですが……。急に索敵能力が上がっててびっくりしましたよ」 「またヴァルキリーどもが余計なことをしたのかもしれないな。ガーディアンはゴーレムに毛が生えたようなものだから、ああいうヘッドランプは自力でつけられない。最深部に魔力の供給源があるから、そこの警備を強化したかったんだろう」  それを聞いて、少しイラッとした。またヴァルキリーが余計な妨害をしてきたのかと思うと、腹が立ってしょうがなかった。

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