1979 / 2016

第1979話

「……彼女たち、本当にどこまでも自分たちのことしか考えていないんですね。自分たちの行動がどういう結果をもたらすか、何も想像できてない」 「ラグナロク前はそうでもなかったんだがな。気位は高いが、それでも優秀なヤツはいた。……が、ラグナロクで優秀なヴァルキリーはほぼ全滅してしまって、残っているのは下っ端のカスみたいなヤツばかりだ。無能なくせにプライドの高さだけはそのまま保持しているから、余計にタチが悪いんだろう」  ホズが辛辣なことを言い始めたので、アクセルは黙って彼の言うことに耳を傾けた。せっかくの機会だから、神々の意見を聞いておきたかった。 「お前たちの肩を持つわけではないが、いい加減、ヴァルハラの自治権は戦士(エインヘリヤル)に譲渡してやった方がいい気がするな。くだらないトラブルを生むくらいなら、その方が余程平和に過ごせる。父上の魔力を無駄にすることもないしな」 「ホズ様もそう思いますか……」 「常識的な神だったら誰でもそう思うさ。兄上も口調は穏やかだが、内心『いい加減にしろ』と思っているし」 「ですよね……」 「自分たちの手に負えない仕事まで、意地になってやり通すことはないんだ。不要な仕事はさっさと手放して、別の役割に注力した方が誰にとっても平和になる。とりあえず、今はヴァルキリーどもを是正してやるのが一番だろうな」 「はい」  やはり他の神々から見ても、ヴァルキリーの所業は思うところがあるみたいだ。まあ当然といえば当然だろう。 「ホズ様は、ヴァルキリーからヴァルハラの自治権を譲渡してもらうのって、話し合いでどうにかなると思いますか?」  一番肝心なところを尋ねたら、ホズはやや難しい顔をしてこう答えた。 「……どうだろうな。あいつらがお前たちとの話し合いに素直に応じるとも思えんが」 「でも……話し合いができないとなると、最終的には武力行使になってしまいそうですが」 「そうなるだろうな。戦士(エインヘリヤル)VSヴァルキリー……ラグナロクほどではないが、そこそこ大きな争いになりそうだ」 「…………」

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