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第2195話

「なるほど、これなら安全に屋敷を探索できるな。……しかし、何でうちの中で反応してるんだ? うちには罠なんかないだろ?」 「え、何言ってるの? 私が仕掛けた罠がそこら中にあるじゃない」 「……は? どこにあるんだよ、そんなの。知らないんだけど」 「ほら、例えばコレとか」  兄が何もない壁にドン、と手をつく。  次の瞬間、反対の壁にある棚の隙間から、ヒュンと小さな矢が飛び出して来た。それがアクセルの目と鼻の先を通過し、ドン、と壁に突き刺さった。 「っ……!?」  アクセルは引き攣った顔で矢が刺さった壁を見た。  飛び出して来た矢はボウガンにセットするような丈夫な矢で、当たり所が悪ければ即死もあり得るものだ。  しかも結構な威力で発射されたらしく、かなり深くまで壁にめり込んでいる。 「ちょっと、何だよこれ……! いつの間にこんな罠が……。というか、めっちゃ危ないじゃないか! こんなの仕掛けてたなら教えてくれよ!」 「大丈夫だよ。だってお前は、リビングの壁を強く叩くことなんてないでしょ? そんなことするのは、家探ししに来た侵入者くらいかなと思って。仮に私の友人が間違って壁叩いちゃったとしても、飛んできた矢が避けられないほど未熟なヤツはいないよ」 「そういう問題じゃないだろ……。せめて俺には教えておいてくれよ。間違って罠にかかったらどうするんだ」 「はは、ごめんね。これ最近仕掛けた罠だから、何だかんだしているうちに教えるの忘れちゃったみたい」 「あのなぁ……」 「まあとにかく、道具の使い方はわかった。これさえわかれば、罠なんてないも同然だよ。よかったね」 「……はあ」  何もよくないんだが……と思いつつ、アクセルは壁に刺さった矢を引っこ抜いた。案の定、抜いた後には大きな穴が残った。  これどうやって塞ごう……。何か絵でも飾っておくか。さすがに穴が開いたままっていうのは、みっともないしな……。 「それで、いつ屋敷に突入しようか?」  と、バルドルが話を振ってくる。

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