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第2196話

「私の魔力もだいぶ回復してきたし、使える道具も揃ってる。ホズのことも心配だし、きみたちのお友達も誘ってみんなで作戦練らない?」 「そうですね。準備ができているなら、なるべく早い方がいいでしょう」  兄が顎に手を当てる。 「もっとも、大勢で突入して一網打尽にされても困るので人数は絞りますよ。いざという時のための後発隊も必要ですし。なので友人を誘うにしても、一番強いミュー一人になるかもしれません」 「いや、それで十分だよ。きみたちの仲間はみんな強いからね、室内乱闘になったら私の屋敷が壊れてしまう」  冗談めかして言うバルドルだったが、実際上位ランカーが一斉に暴れたら屋敷の全壊では済まなさそうだ。  いつぞやユーベルが宴で剣の舞を披露した際も、死傷者多数、宴会場自体めちゃくちゃになったものだ。ああいう現象を一人で起こせるのだから、それこそ兄やミュー、ジーク、ユーベルが一度に屋敷内で暴れたら、頑丈な屋敷も普通に崩壊しそうな気がする。  ――ホズ様の安全さえ確保できれば、屋敷ごとロキを破壊するって作戦もアリな気がするけどな……。  それなら細かい罠など気にせず、思いっきり暴れられるんだが……なんて考えていると、唐突にバルドルが怪訝な顔をし出した。 「……ところで、何か焦げ臭くない?」 「……あっ、やば! 鍋に火かけっぱなしだった!」  慌ててキッチンに駆け込み、煮立っているカレー鍋の火を止める。スープカレーにしようと思ったのに、かなり水分が飛んで焼きカレーみたいになってしまった。鍋もちょっと焦げている。  仕方がないのでまた少し水を加え、ルーの塊を溶かし直した。焦げのせいでだいぶ香ばしい匂いがしたが、「そういう料理なんだ」とごまかして夕食に出した。 ***  その日の夜は話し合いの末、アクセルは兄のベッドで一緒に寝ることになった。 「毎日私ばっかりベッドを使ってるのは申し訳ないから、今日は私がソファーで寝るよ」 「いや、そんな……。俺はどこでも寝られるんで、バルドル様は俺のベッド使ってください」

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