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第2197話
「でもソファーじゃ身体の疲れがとれないんじゃない? 今日はみっちり鍛錬してたし」
「ああ、じゃあ私たちは同じベッドで寝ますよ。それならいいでしょう」
「えっ!?」
兄の発言に驚いたのはアクセルの方だった。
――兄上と同じベッドで……? 何かちょっと嫌な予感がするんだが……。
普通に添い寝するだけなら万々歳なのだが、今朝も「おはようセックス」をほのめかしてきたし、あまり安心できないんだよなぁ……。
少し心配していたら、兄が寝る前にホットミルクを作ってくれた。ハチミツ入りの美味しいやつだ。
これはあまり眠れない時に飲むものだから、きっと今夜は何もせずに普通に寝るつもりなのだろう。それならよかった。
眠くなったからとバルドルが先にベッドに入り、アクセルと兄は家の戸締りチェックをしっかりしてから寝室に向かった。最近物騒なことが立て続けに起きているから、家にいても油断はできないのだ。
ベッドに横になった時には、既にバルドルは熟睡していた。今日はバルドルも修行場までハイキングしたから、疲れたに違いない。
俺もさっさと寝ちゃおう……と布団をかぶったのだが、
「っ……!?」
兄が突然こちらの胸元に手を這わせてきて、ぎょっと目を剥いた。
「ちょっ……兄上、何してるんだよ……」
「何って、久々に一緒のベッドで寝てるんだからさ。少しイイことしてから寝ない?」
「何で!? 今日はそういうつもりじゃないんだろ? さっきホットミルク入れてくれたじゃないか」
「ああ……あれはバルドル様によく寝てもらうためのカモフラージュさ。バルドル様にだけ入れたら不自然だから、ついでに全員分入れただけ」
「えええ……!?」
何だその理由は。じゃあ兄は最初から、下心丸出しでホットミルクを作っていたということか? 安心して飲んでしまった自分が悔しい……。
「だ、だとしてもダメだって……! 変な音立てたらバルドル様が起きちゃうし……」
慌てて兄の手を掴み、真面目な口調で抗議する。
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