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第2204話
「わかった? だからお前と私は別々の方がいいの。万が一私が死んでも、お前だったら絶対遺体回収してくれるでしょ? もちろんお前が死んだら私が何とかするし。どちらかが生き残っていれば、どっちも生き残っているのと同義なんだ」
「そうだろうか……」
「そうだよ。だから今回はジークの言うことしっかり聞いて、ちゃんと働いてきなさい。正面の敵を殲滅できたら、私たちも屋敷内に突入するからね」
そう言いくるめられ、結局アクセルは兄と違う部隊での行動となった。未だに納得はしていないが、今更正面に回ることもできない。ここは素直に従うしかない。
「……やるべき仕事はやります。ホズ様の捜索とロキの確保、この二つはしっかり果たすつもりです」
「ありがとう、頼もしいよ。でも無理はしないでね」
隣にいたバルドルがにこりと微笑んでくる。
バルドルは屋敷に侵入した際、どこに何があるかを先導してくれる役目を負っている。他にも簡単な治癒魔法で怪我を治したり、罠レーダーの効力が切れた時に魔力を注ぐ等、重要な仕事がいくつかあった。
そういった仕事は自分たち戦士 にはできないので、バルドルの方が余程頼もしい。そもそもこの屋敷はバルドルのものだから、捜索もそこまで苦労しないかもしれない。
――この仕事が片付いたら、いろんなことにケリがつくもんな。さっさと終わらせてヴァルハラに帰ろう。
なるべくポジティブなことを考えながら、アクセルは正面の合図を待った。
しばらくして正門側が騒がしくなり、怒声と共にキン、と武器を叩き合わせる音も聞こえてきた。
「始まったな」
ジークが小さく呟く。アクセルもぐっ……と小太刀の柄を握り締めた。
「よし、じゃあ行くか」
「……はい」
一応周りに気を配りつつ、裏口から屋敷内に侵入する。
屋敷の裏口は厨房に繋がっており、いつも食事に使っている食堂に直結していた。
「それにしても、意外と気付かれないものですね……。正面が騒ぎになっている間に裏口から……ってのは、突入の常套手段だと思うんですが」
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