2296 / 2296

第2296話*(最終話)

「っ……」  最後の一滴まで残さず中に出しきり、ようやく兄はずるりと腰を引いて行った。  もう少し繋がっていたかった気もするが、さすがに引き留める体力は残っておらず、アクセルもぱたりと両手をベッドに落とした。 「う……」  緩んだ後孔から、ごぽっ……と熱いものが漏れてくる。  最早脚を閉じる気力もなく、そのまま眠ってしまいそうになったが、 「あ……?」  兄にひょいと身体を横に抱き上げられ、ハッと目を開けた。 「さすがにこのままでは寝られないでしょ。身体を綺麗にしてからおやすみしようね」 「え……」 「大丈夫、さすがにお風呂でまで変なことはしないよ。綺麗に洗うだけさ」  何やら嫌な予感がしたが、今更抵抗できないので黙って従うことにした。 ***  ようやく浴室から出られたのは、入って一時間以上経過してからだった。 「まったく……本当にやりたい放題だな、兄上は……」  軽く文句を言いつつ、兄のベッドに転がる。  あれから浴室で念入りに身体を洗われたのだが、シャワーの刺激やスポンジで擦られることにすら感じてしまい、ものすごい辱めを受けたのだ。  出されたものを掻き出した時なんかは、うっかり一度イってしまい、恥ずかしすぎて死にたくなった。こんなことなら、失神していた方がマシだったとさえ思った。 「まあまあ。私もお前相手だからやりたい放題できるんだからさ」  などと、兄が笑ってくる。反省している様子は微塵もない。  ――まあ……兄上のことだ、未来永劫反省することはないんだろうな……。  隣に寝転んできた兄に抱き締められ、アクセルはそっと胸元に顔を寄せた。  いくつになっても、こうやって兄の側で眠るのが一番落ち着く。幸せ……。 「おやすみ、アクセル。また明日ね」 「そうだな……おやすみ、なさい……」  アクセルは静かに目を閉じた。  鍛錬したり、狩りをしたり、死合いをしたり……発散したり。この先も、こんな日常がずっと続いて欲しい。  愛する兄・フレインと永遠の時を過ごす――それこそが、アクセルの幸せなのだから。                                  【完】

ともだちにシェアしよう!