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夕暮れと若さ。
暖かい時期とはいえ、夜、焚き火もなく肌を外気に晒すのはヒンヤリとする。
冷たい手で、身体に直接触れられれば、ビクッとなってしまう。
「ミクリオ、ずっと1人だったの?」
耳元で囁くように尋ねられる。
「あ、当たり前だろ?あんな恥ずかしい事、他人と出来ないって、止めろってば!」
言葉で止めようとしても無理だ。スレイの手は既に熱く熱を持ち、僕の身体を確認するかの様にアチコチ触りまくっている。
服の上から、スレイの腕を掴む。
「頼むから、止めてくれ。汚れても、汗を流せないのは気持ち悪い。」
すると、フフンと不敵な笑い。
「暗いけど、あそこ、よく見て?」
「な、何?」
この高台を選んだのはスレイ。
「白い靄?・・・湯気?」
「そー。だれでも利用できる天然温泉。あれがあったから、俺、数日この辺りに居た。」
汗を流せないと言う言い訳が潰された。
「開放感タップリの睦み合いだよ?最高じゃないか?」
「開放感すぎる。落ち着かないよ。」
お喋りはここまで、と言わんばかりに口を塞がれた。もう、観念するしかないようだ。
少しだけ、唇を開くとスレイの舌が入ってきた。舌と舌が触れるだけで、顔が火照り、頭が霞む。数百年振りの交りで、どんな感覚か忘れたつもりだったのにフラッシュバックの様に身体は昂り始める。
いつのまにか、互いに下は膝辺りまで降ろし、行き場のない熱を持った欲望を擦り合わせていた。
「あぁ、スレイッ!」
「フフ、素直なミクリオは可愛い。」
大の大人の男が、可愛いと言われても複雑な気分だ。
いつもは、劔を持ち逞しい掌で、僕とスレイの熱を包み込んで、追い立てる。
再会して数時間でこんな事、と頭の隅で考えていたら
「こら、集中して。」
グリグリと亀頭を捏ねられた。
「んアァッ!うぅんっ!」
身体が快感に震える。自分で触れる感覚と全く違う。声が漏れてしまう。
「こっちは、どうかな?」
片手を脚の間から後ろを弄られ、ピクンと跳ねる。
「あれ?柔らかい。」
「それ以上言ったら、止める。」
肩で、吐息交じりに強がる。秘孔の縁をマッサージする様に優しく解し、指が挿入された。やはり自分と違う。唇を噛み締め、声を殺す。身体の深部に眠っていた疼きが眼を覚ます。
「はっ、んっうぅん、スレイッ、スレイ!」
「声、抑えないで?俺しか聞いてない。」
「はぁっ、スレイッ、指、増やしてっ!」
仰け反ってる僕の顎にキスをしながら、指を増やし出し入れする。唾液を着けたんだろう、ヌチャッヌチャッと言う水音が森に響く。
深部だけじゃない。腰が身体が、スレイの熱を帯びた熱い欲望を欲している。1つになりたいと身体は訴えている。
「も、もう平気・・スレイ、スレイが欲しい。」
「泣かないで、ミクリオ。辛い?」
「違う、嬉しいんだ。スレイと、スレイと1つになれる。」
いつのまにか泣いていたらしい。涙に沿ってキスの雨。
スレイは優しい。愛撫の全てが僕には快感にしかならない。嫌がることをしないのだ。身体を起こし、僕の両脚を開き持ち上げる。
「やっ、これ、恥ずかしいっ!」
「どれだけ離れていたと思うんだ?ミクリオの全てを見たいんだ。」
熱いモノが、秘孔に充てがわれた頃には、深い口づけに夢中だった。
グッとスレイが挿さってくる。息が詰まる。
はぁっ、と息を吐きながら、スレイを受け入れる。小刻みに身体が震える。痛みでは無い。挿れられただけで、軽くイってしまったのだ。恥ずかしい。顔を横に向け眼を閉じる。
「痛かったら、言ってね。てか、止められる自信ないけど。」
浅く呼吸しながら、囁く。
ゆっくり腰を動かし始めた。浅く、時には根元まで。スレイの熱い欲望の引っ掛かりが、下腹部の好い所を強く擦り、その度に嬌声を上げてしまう。
「ここ、ここだったね。思い出したよ。」
今度は狙い撃ちで、擦り上げる。
「あぁっ!くぅっ、ス、スレイィ!」
結合部以外はもう限界まで仰け反ってる。脚は突っ張り、手はスレイの背中に爪を立てている。口からは涎、目からは涙が流れ、久方ぶりの強すぎる快感に打ち震えるしか出来ない。
「スレイッ、スレイ!もう1人は嫌だ!」
喘ぎと、荒い呼吸の合間に、涙声で本音を言っていた。
どんな大義があろうが、愛しい隣に居て当たり前の存在が、居なくなる虚無感。寂しいと言えない孤独感。だから、スレイと行ったことのない所を出来るだけ旅した。想い出は、辛かった。
「ミクリオ!もう1人にはしない!」
激しく突き上げながら、スレイも大粒の涙の雨を降らしていた。
お互いに久しぶりの交りで長く持たなかった。2人で手を繋ぎ、指を絡めて、ゆったりと動いたりしたが、やはり終わりは早かった。
「も、もう、イキたい!スレイ!」
「うん、おれも、も、無理!」
最後は、四つん這いになり、動物の様に激しく突き上げられ、喜びの声を上げながら果てた。と、同時に意識を手放した。
辺りが明るくなり、眼が覚めると身体は綺麗に拭きあげてあった。
「スレイ、僕あのまま・・。」
「うん、意識失っちゃって焦ったよ。そのまま寝ちゃったから、身体だけ拭いといた。動けるなら、温泉行こうか?」
「もう少し休みたい。」
箍が外れた交りは、激しく疲れる。
「ミボ、おはよう。」
『エドナ!ライラ!』
スレイと同時に声を上げた。
服は乱れてないけど、そこはかとなく、その気だるさ感は漂ってる。というか、いつから居るんだ?帰ったんじゃないのか!
「この機械、どうやって使うの?教えなさい。」
「こんな朝早く申し訳ありません。まだ、お休みですと、エドナ様には申し上げたんですが。」
「いいのよ、ミボだから。」
何が、いいんだ。その基準が、わからない。
スレイが、慌てて使い方を教えてる。僕は立ち上がれないから、少し離れて座って様子を伺う。
「昨日、この機械受け取って、使い方を聞いてないから、戻って2人を追いかけてたのよ。」
え?本当?
「夕暮れも近いから、探して見つけたのに。」
もしかして。
「お盛んなご様子だったから、温泉に入ってのんびり過ごさせて貰ったわ。温泉の近くに宿もあったから、まぁ良かったけど。」
宿はまぁいい。宿は。
見られてる。聞かれてる!万死に値する位恥ずかしい!!
「あら、ミボ、顔が真っ赤よ?どうしたの?」
不敵な笑い。
「貴方達の関係を私が知らないと思ってるの?」
「し、知ってたの?」
「とても分かりやすい関係でしたわ。」
ライラまで。
「だけど、まさか野外でとはね。流石ミボだわ。」
暫く、話のネタにされそうだ。イズチに帰れない。スレイも顔を赤くして、頭をかいている。
「昨夜の事、内緒にして貰えない?機械と引き換えに。」
スレイ、エドナと交渉してる!
「まぁ仕方ないわね。別にミボが、笑ってるから良いわよ。数百年振りの笑顔ね。」
そういうと、ライラと共に立ち去った。
「数百年振りの笑顔ね、だって。」
「宿があるって知ってたな?」
「う、うん。でも、宿でその交わってたら、2人以外にも聞かれてたと思う。」
「・・・・。」
次からは防音も考えて宿を決めると心に誓う僕らだった。
~つづく
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