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16一6※
咥えてみたはいいが、ここからどうするのかが分からない。
想像には頼れないので橘の指南がないと由宇は何も出来ないし、だからといってジッとしていたら唇の端から自身の唾液がたらりと滴ってしまう。
ヤバイと思い、慌てて唾液を追って竿の付け根部分から鬼頭へ舐め上げると、微かに橘が息を呑んだ気配がした。
(……先生、今の……気持ち良かったのかな…?)
唾液を舐め取った由宇は橘の反応を気にしながら、かぷっ、と先端を咥えて元の態勢に戻った。
後頭部を押さえられていた手のひらが、優しく由宇の髪を撫でる。
それは、愛しい者への愛撫のように儚い手付きだった。
ゆっくりと髪から由宇の頬へと温かな手のひらは移動してきて、巨砲を咥えているというのに僅かに上向かされる。
「下手だろうが何だろうが、お前にされてるってだけで気持ちいいんだよ。 分かったか、アホポメ」
「……っ!」
添えられていたはずの指先が照れ隠しなのか、ぶに、と一度だけ由宇の頬を摘んで離れていき、また後頭部に置かれた。
声が優しくなった気がする。
橘の巨砲を頬張っている由宇を愛しげに見下ろしてくれているような気もして、何だか嬉しくなった。
お尻に入ったままのヤツは違和感しかないが、蠢かないだけまだいい。
とりあえず今は考えないようにしている。
「お前も好きなカリのくぼんでるとこ、ベロの先っぽ使って舐めまくれ」
「……………ここ…?」
「そ。 もう少し深く咥えられるんなら、裏筋もな」
やってみる、と小さく頷くだけで返事を返し、言われた通りに咥えた状態でくぼみをチロチロと舐めてみた。
舐める度に、口の中で巨砲がピク、ピク、と動く。
言うまでもなく、これは由宇が橘に与えている快感なのだと分かると興奮してきて、竿部分に手を添えて夢中で舐めていった。
由宇は、自分だったらどこが気持ちいいかなどもまだ知らない。
指南された通りにやっていく事しか出来ないけれど、橘は、由宇がしているというだけで「気持ちいい」と言ってくれた。
そこに「好き」の感情がちゃんとあるから、そう思ってもらえているのだ。
二時間射精を我慢する事が出来なかったので、恐らく今日は「好き」とは言ってくれない。
けれど、橘のこの反応と、猛々しい性器から滲み出る妙な味の液体が由宇を喜ばせた。
正直、マズイ。
精液ともまた違った、何とも言えない本当にマズイ風味だが、橘のものなら平気で飲み下せた。
舐め始めた時よりさらに膨張した橘の巨砲は、由宇の唾液でいやらしく艶めいている。
初めての経験なので、橘が「もういい」と言うまで続けなければと由宇は必死で、彼の手のひらに再びバイブのスイッチが握られている事に気が付けなかった。
「…っ? …………んーっっんーっっ…!」
「あ、悪い。 また手が滑った」
「んむっ…んっ………んっ…!」
「離せ。 声が聞きたい」
「んんーーっっ!」
「あーお前が取ろうとするからまた手滑っちまったー」
記憶に新しい振動が由宇の内部で蠢き始め、体がビクビクっと波打った。
それが橘の手に握られていると分かるや、由宇は巨砲を咥えたままスイッチを奪い取ろうと腕を伸ばす。
刹那、再び悪魔が姿を現し意図的にスイッチを床に放ると、呆然となった由宇の唇から自身を引き抜いた。
「んあっ? ……んーっ…も、せんせぇ……っ、止め、て…っ…止めて…!」
「なんだよ、さっきから。 なんで嫌って言わねーの」
「とめ、止めてって言って…る! 止めろよ、マジで…っ!」
今言えるのは、中を動き回ろうと震えているヤツを大人しくさせてほしいという事だけだ。
まだコードを持って動かされていないだけマシだが、この振動は性器にも伝わってどんどんと由宇のお腹とシーツが汚れていく。
早く止めてくれないと、また頭の中が空っぽになってしまう。
こんな時でも意地悪な微笑を浮かべる橘が、大好きだけれど憎い。
「初めてにしちゃ上出来なんじゃね? これから覚えていきゃいい。 色々覚えて俺を喜ばせろよ」
「…んんっ? せんせ、も…っ…! またイき、そ……っ」
「あぁ? また? 触ってねーのに」
「だって…っ、中……ふるえ、て…!」
「あ、そうそう。 今日は初めてだからこのサイズだけど、明日は倍の太さの入れっからな。 今入れてるサイズじゃ俺の半分にも満たねー」
「えぇ! い、嫌っ! 嫌! もうやだ!」
(明日も泊まれって言ってたの、このためなんじゃないの──っ?)
悪い知らせ以外の何ものでもない。
そんな事を今言う必要はないし、知ってしまったからには明日は全力で逃げ切ろうと心に誓う。
経験はもちろん、知識もほとんどない初心者の由宇に対しての要求が、あまりにもキツ過ぎるのだ。
(……ほら、また意地悪に笑ってるし…!)
まさか後孔を開かされ、卵型のバイブを挿れられてフェラチオを強要されるとは思ってもみなかった。
由宇の戸惑いなどいざ知らず、悪魔はニタリと笑ってコードを掴み、ゆるゆるとバイブを動かし始めてしまう。
「………いいじゃん。 のってきたな。 …もっと言え」
内壁からの刺激に性器が張り詰めてしまい、由宇の目尻には溢れる間際の涙がたくさん溜まっていた。
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