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17一5

『放課後いつもの場所で』  昼休み、橘からこうメッセージが届いた。  母親には「お世話になってる先生だから力になりたい」と尤もらしい事を言って、橘の家に泊まること早四日。  看病とは名ばかりで由宇の開発と拡張の日々を毎晩過ごし、橘の意地悪な性癖を嫌というほどぶつけられている。 『俺は元々淡白なんだぞ』  …とドヤ顔で言う橘の巨砲は淡白とは程遠く、毎日元気に猛っていて恐ろしい。  それを言うなら由宇の方が淡白だった。  自慰すらほとんどした事が無かったのに、今や後孔の拡張がどんどん進んでいる。  大人のオモチャでいじられまくり、その後はひたすら橘が指を突っ込んで掻き回して開発を試みているが、宣言通りまだ橘の巨砲を受け入れるには至っていない。  自分の体が、まるで新しい体に作り変えられていく感覚に陥るため、快楽に溺れて沈んでしまうのが怖くて、昨日は行為の最中にダメ元で寝たフリをしてみた。  だが……。 『お、大チャンス。 寝てるうちに突っ込んじまおーかな』  狸寝入りをする由宇の耳元で囁く橘の巨砲が、秘部をツンツンとイタズラしてきて慌てて身を捩った。  こんな乱れといて寝れるわけねーだろ、と笑った橘の悪魔面に見惚れた由宇は、…全戦全敗だ。 「由宇、もう先生のとこ行く?」  大きな溜め息を吐いた由宇の頭を撫でてきたのは、めっきり明るくなってさらに女子生徒達からモテモテな怜だった。 「あ、うん。 呼ばれた」 「そっか。 ……由宇、幸せ?」  放課後課外がない今日は、冬休み目前ともあって皆すでに帰宅していて教室内は由宇と怜しか居ない。  怜にベッタリな真琴は、どこに行くのかいつも放課後は少しだけ別行動なので、怜と二人きりになるのはこの僅かな時間だけだ。 「え…何、急に」 「由宇が幸せだと嬉しいから。 先生に優しくしてもらってる?」 「怜よりは優しくないけど、優しいよ。 …俺は先生と居られるだけで幸せだし」 「そう。 良かった。 …本当に良かった」 「………怜………」  片思い中、怜には散々心配を掛けてしまった。  健気に想い続ける由宇に焦れて、怜が橘の元へ本音を聞き出しに行こうとするのを大慌てで止めた事もあった。  怜の両親の件で、橘と由宇が親身になって解決を模索していたと知った怜の口癖は、「由宇は幸せになってほしい」だ。  橘への恋心だけではなく、由宇の家庭事情も大層心配していた怜の情深さは、まさに親友と呼ぶに相応しい。  校区の違う由宇は、入学初日に友達が出来るかどうかも相当不安で胃腸がキリキリしたものだが、怜が話し掛けてくれた事で二人の友情は始まった。  あの頃はまだ怜も塞ぎ込んでいたのに、由宇の背中が寂しそうだからと毎日一緒に居てくれて、自宅が暗黒だった由宇を、怜は嫌な顔一つせず泊めてくれたりもした。  怜には感謝してもしきれない。  父親が不倫に走って家族がバラバラになってしまう一歩手前だったにも関わらず、母親との絆をよくあの短期間で蘇らせたものだ。  優しくて穏やかで、それでいて懐深い怜だから出来た事。  怜の方こそ、笑顔を取り戻せて良かったと由宇は心の底から嬉しく思っている。 「由宇ー? 泣きそうな顔してるよ? 大丈夫………わ、どうしたの」  これまでの出来事が様々脳裏に浮かんで、うるっときていた由宇は椅子をガタンっと言わせて勢い良く立ち上がった。 「怜………っっ」  驚いた怜にひっしと抱き付き、グリグリと顔を押し付けて怜の制服で涙を拭う。  優しい怜は、感極まった由宇を引き剥がしたりなどせず背中を穏やかに擦ってくれた。 「なんで泣くかなぁ。 幸せなら泣いちゃダメだろ?」 「うん…っ、うん、そうなんだけど…! 怜、ありがと。 友達になってくれて、ほんとに…っ、ありがと…!」 「それはね、由宇。 こちらこそだよ」 「怜〜〜〜っっ」 「これからもよろしく」  号泣している由宇へ、怜が畳み掛けてきた。  親友という存在がこんなにも尊いとは知らず、まだまだ先の未来、何なら死ぬまでずっとよろしくと由宇の方こそ言ってやりたかった。  けれど泣き過ぎて言えない。  橘の元へ行かなければならないのに、離れたくない。  あと少しだけ、少しだけ、こうしていたい───。 「あーーーッッッ! またイチャついてるーーー! もう! 離れて離れて!」  時間の流れが止まったかのような安らぎの中に居た由宇の涙は、耳をつんざく金切り声で一瞬にして止まった。  怜にゾッコンな真琴が戻ってきたので、離れて!と叫ばれなくても離れるしかない。 「目を離したらすーぐイチャイチャするんだから! いくら由宇でも、怜様は渡さないんだからね!」 「わ、分かってるよっ」 「真琴うるさいよ。 校内中に真琴の声が響き渡ったんじゃない?」  窘められても、えへへ♡とはにかんで怜に擦り寄っている真琴が、「あ!」と大声を上げて由宇を見る。  あれだけ次から次へと溢れてきていた涙が、天真爛漫な真琴の登場で本当にからりと渇いた。 「橘先生が、由宇が遅いってここに向かってたから危なかったよ! 二人の抱き合ってるとこなんか見られたら何て言われるか…」 「誰と誰が抱き合ってたって?」

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