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第1話
かつて、世界に蔓延した謎の病原菌によって人間が絶滅の危機に瀕していた。
数々の戦争や貧困で世界は混乱時代を迎える。
その事態を脱却すべく行われた研究によって
人工的に創り出された生命体、動種。
異なる複数の動物の遺伝子を持ち、人と動物が混じった半獣人のような姿。
人間よりはるかに強靭な肉体を持つ動種はか弱い人間を慈しみ、そして守った。
やがて高度な研究の副産物として生み出された画期的な医療技術によって
人類は滅亡の危機から脱し、世界に平和が訪れた。
しかし、かつては神のように崇められていた動種達だったが
増えすぎた人間達から「人ではないもの」として迫害を受け、家畜や奴隷へ
そしてその見た目の奇異さから、愛玩物としての位置に追いやられてしまったのだ。
特に重宝されるのが人工的に創り出された生命体なため、簡単に遺伝子を操作できることと
肉体自体が人間とは変わらないものの人間より遥かに強健なため
新たな医療技術や科学研究の実験体としての価値。
動種達は人を恨んだりはしない。
そのように遺伝子に組み込まれているから。
故に人は彼らに対して、果てどなく横暴に、残酷にですらなれる。
"これは我らの進歩のためなのだから"、とーーー。
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