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第57話 かわいいひと
仕方なく再び彼の中に指を埋めていくが、
体勢のせいか先程よりも動かしやすくなる。
「..ん、...ぁ、っ...」
悩ましげな声を零し始める彼に、どぎまぎしてしまう。
眼には涙が溜まっていて、痛いのを我慢しているのかと不安になる。
「..やめ、る...?」
「は..?なんでだよ....」
「いやだって痛いのかと..泣くほど...」
アッシュはあまり動かさないよう言われていたがもう片方の手で彼の涙をすくってやった。
ファリスは眉間に皺を寄せてその手から逃れるように横を向く。
「....いい..んだよ..」
「うん?」
「気持ちいーから泣いてんだよ!
言わせんなボケ!」
ファリスはそう叫び、アッシュは目を見開いた。
目から鱗である。気持ちいと泣くとは...?
真面目に考えようとしているとファリスに頬を
つねられた。
「考えんなって...!あーもう調子狂うなぁ」
そう言って彼はため息を零している。
また何か怒らせてしまったらしい。
「ご..ごめん..」
つくづく自分は世間知らずなのだろうと思う。
呆れられてしまっただろうか。
落ち込みかけているとぐいっと腕を引っ張られる。
「ほら。余裕なくしてやっから来い」
男らしいセリフを吐かれる。
既にかなり余裕がないのだが、もうこれ以上余裕がなくなったらどうなってしまうことやら。
しかし自分も男であり、目の前に愛しい人がいれば欲しいと思うのは当然で。
彼に近寄って頬に口付ける。
「うお.....入るかな..」
ファリスは何かブツブツ呟きながらも、
熱を集めた中心に触れてきた。
思わず腰が引けそうになったが彼に頭を撫でられ捕まってしまった。
「...余計なこと考えずに、私のことだけ感じて」
そんなことを言われながら、
熱を持ち張り詰めた自身を扱かれ始める。
既に溢れ始めている先走りを
塗りたくられるようにされ、呼吸が乱れる。
「..っ、ファリ、ス..」
初めて他人に触れられ、彼の白い指が触れているのを見るとたまらなくいやらしいことをしているというえもいわれぬ感覚になって
思わず目をぎゅっと閉じてしまった。
「....いっぱいいっぱいみたいだから
こんくらいで許してやるよ」
閉じていた瞼に口付けられて、恐る恐る目を開いた。
彼は片眉をあげてアッシュの頬を撫でながら、
かわいいな、と呟くので
どういう顔をしていいかわからなくなる。
そうこうしていると彼は足を開いていき、
腕を掴んでくる。
「その...久々...だから、ゆっくりな」
じっと見つめられて、アッシュはいよいよ男になる時がきたのだと天に祈りたくなったが
彼のエメラルドグリーンの瞳からは目が逸らせなかった。
中心をその場所へと当てがうと、その狭さに
指ならまだしも本当にはいるのかと不安になるが
少し動かすと先走りで滑ってゆっくりと飲み込まれていく。
「...っは、...ァ...」
彼の身体がびくりと震える。
先端が飲み込まれ、その熱い内部の熱を身体がもっとと欲しているように腰が動いてしまう。
その度に彼が掠れた声を上げるので、痛いのか気持ちいいのかと考えてしまう。
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