129 / 129

第131話 恋とスパイは使いよう

「シアーゼちゃん……」 頬を染めて、信じられないくらいのアホ面を晒しているマルクに シアーゼは笑いを堪えながらそっと彼から手を離した。 「わかりましたか?」 「け…結婚しようってこと?」 「は?そんなわけないでしょ…気持ち悪」 「えぇ…!?!」 奇声をあげながら飛び上がっているマルクだったが、シアーゼは遂にくすくすと笑ってしまいながら 彼に抱き付いてその額に口付けてあげた。 「ふふ。あなたのこと、嫌いではないですよ?」 「も、もぉぉ…どんだけ振り回すのさ… まぁそういうとこも可愛いと思っちゃうんだけどさぁ…」 マルクは呆れたように呟いてそっと頭を撫でてくる。 くすぐったいようなその指の感覚に、 シアーゼは彼から身体を離し馬に飛び乗った。 「あっシアーゼちゃん!?」 驚いたように見上げてくるマルクにシアーゼは片手を振った。 「暫く戻らないと思いますけど、浮気したら殺しますよ」 それだけを叫び、颯爽と馬小屋から外へと飛び出した。 慌てて追いかけてきながらも、ええー!と声を上げるマルクを振り返り、そのアホ面が愉快で堪らなかった。 「愛してますよ!マルク!」 そんなことを言いたくなったから、 いよいよ終わりなのかもしれなかったが 不思議と心は晴れやかで、ぽかんと口を開いたまま なんとも言えない顔で立ち尽くす彼のために さっさと帰ってこないとななんて。 そんなことを思いながら、馬を走らせるシアーゼだった。 fin

ともだちにシェアしよう!