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第130話 恋とスパイは使いよう

「……寂しい、なぁ…」 意図しないようにしていた言葉を、容易くマルクは口に出す。 そういうところも腹立たしいし。 「指揮官ともあろう方が何を言ってるんですか」 「だって…シアーゼちゃんの前では指揮官じゃなくって、 ただの俺になっちゃうんだもん…」 マルクの言葉に再びため息をこぼし、 シアーゼは彼を振り返って睨んだ。 「あのね、1回寝たくらいで彼氏面しないでもらえる?」 腰に手を当ててそう言うと、 マルクはわざとらしく目を見開いて両手で口元を覆った。 「そんな…遊びだったっていうの!?」 ひどいわぁ、とどの口が言うのかと言う台詞を吐きながらマルクは泣き真似をした。 全くどこまでが本気で冗談なのか。 それは自分自身にも言えることなのだけれど、 俺は一体どこまで本気なんだろう。 「はぁ…マルク。ちょっとこっち来て」 そう言って呼ぶとマルクは大人しく、のこのこと近寄って来た。 「俺はね、働く為に産まれてきたのですよ。 だから遊んだ事なんて、ないんです。 きっとこれからもそうでしょうね」 シアーゼはマルクの左手を両手で取って、ぎゅうっと握りながら彼の瞳を覗き込んだ。 「…ど……どういう、いみ…?」 挙動不審に目が泳いでいるマルクに、シアーゼは何も言わずに微笑んだ。 そして彼の左手の薬指で光っている指輪に口付けた。

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