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第129話 恋とスパイは使いよう
翌朝、シアーゼは若干の後悔を覚えながらも、
それでもにやけてしまう自分に寒気がしながら
再び隠密活動へ戻るべく馬の手入れをしていた。
こんなに腰が痛くて身体はバキバキなのに、妙に日差しが眩しくて、
酷く満たされているような気にさえなるから救いようがない。
「シアーゼちゃんシアーゼちゃん!」
能天気な声が聞こえてきて、シアーゼはため息つきつき振り返った。
陽の光に金色の髪が反射して眩しい。
「一回言えば聞こえますよ」
「…もう行っちゃうの?」
あからさまに寂しそうな顔をするマルクに、
シアーゼは苦笑しながらまた馬に向き直り荷物を積み始める。
「まあ、色々と仕事が立て込んでますから。」
今は一旦落ち着いているとはいえ、このご時世何が起こるかはわからない。
現在微妙な緊張感を保ちながら停戦状態となっているソマトロアムや他の国々がおかしな動きをしないように情報を統制したり見張ったりしなければならないし
ミニィグレースの純恋愛も上手くいくように裏でこそこそ動き回ったりもしている。
そして何よりファリスが健やかに不自由なく生きていくために、
せねばならない事は山のようにあるのだ。
これまでも似たような生活だったし、シアーゼは全く苦にならないはずだったが
なんとなくこここを離れがたいような気持ちがないわけではない。
そのアホ面を見ていると特に、だ。
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