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第128話 恋とスパイは使いよう

身体が熱い。 感情を忘れるために淫乱になった身体が 性欲と恋の区別も付けられなくなって それがどんなに虚しいことなのか、考えることも止めていた。 恋なんてどうせしないだろうから。とたかを括っていたのだ。 シアーゼは彼の頬を両手で包みじっとその顔を見上げた。 今、欲しいものは他の誰でもなかった。 それを確信してしまった。 「.....俺を愛して、マルク.. 誰でもない......俺は今あなたに愛されたいんです」 こんな風に穢れてしまった自分を大事に扱う彼は、 哀れな男だと思う。 それでも彼に愛されたかった。 「本当は...あなたに愛される資格なんて無いんでしょう...けど... シアーゼのわがままを聞いてください...」 懇願するように彼に抱き付いた。 どうしようもないほど熱を持った身体は敏感になり彼に触れて昇り詰めてしまいそうだった。 「....いっぱいあいして......マルク....」 再び熱を集めていた彼の自身が充てがわれ、 ゆっくりと身体を割いて挿入されていく。 彼の熱でどろどろに溶かされていくようで、 シアーゼは声にならない声で悲鳴をあげた。 「愛してるシアーゼ」 耳元で囁かれ、頭の中がその声でいっぱいになってしまう。 やがてゆっくりと動かし始められ、摩擦で生まれた電撃のような快感が身体中を駆け巡った。 「あ..、ぁ...っは..、あッ」 欲望を打ち付けられながらも額にキスをされると、 ああこんなに快かったっけかなどと思ってしまう。 無理矢理に与えられてばかりの行為で、 もしかすると自分から欲したのは初めてだったのかもしれない。 「..ん..、あ...っ、まる、く...」 彼の髪を撫で、唇を重ねた。 どこまでも追いかけてきて、邪魔をするこの男を 今はただひたすら焼き付けたかった。 「愛してるよ」

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