126 / 129

第128話 恋とスパイは使いよう

頭の中がその声でいっぱいになってしまったみたいだった。 そして、物理的にも熱く滾った塊がシアーゼの中に入ってきていっぱいにされていく。 刺激が欲しくて堪らなかった身体は、そこから齎される感覚にあっという間に飲み込まれていくのだった。 「っ…、ぁ…、ッ」 まだ、繋がっただけなのに達したばかりだった身体は瞬時に熱を持って シアーゼは恐ろしくなって無我夢中で彼にしがみ付いた。 汗ばんだ肌がくっ付いて、全部溶け合っていくみたいだった。 「…っ、う…ぅう…、ん」 演技なんてする必要ないくらい、寧ろ勝手に溢れてくる声をどうにかしなければと焦るくらいだった。 彼が動く度に、ずちゅずちゅと水っぽい音と 二人の荒っぽい呼吸が屋根裏に響いていた。 「…シアーゼちゃんは綺麗だよ」 マルクはシアーゼの背中を抱き支えるようにしながら、耳元で呟いている。 動きはとてもゆっくりのはずなのに、深く差し込まれているようで ナカで熱を感じる度にシアーゼはえもいわれぬ感覚に翻弄されてしまう。 「っ…一生懸命で…、芯があって…まっすぐで、いい子だよ……」 彼の中では自分はそんな風に天使のように見えているのだろうか。 シアーゼは全く以って真逆だと解釈していたけど、今は意味を持つ言葉を紡ぐ余裕がなくて。 「ぁ、う…、まる、く…ぅ」 彼の名を呼ぶ声が信じられないくらい甘く蕩けているみたいだった。 シアーゼは段々自分がよく分からなくなっていき、身体中を駆け巡っていく快感だけを、 マルクの爆発しそうな程の温度だけを感じさせられていた。 「愛してるよ」 真っ白に溶けていく中、その声で満たされていた。 愛してる。 それを口に出すには、一体どれだけの言い訳が必要だと言うのだろうか。 なんの利益も策略も必要としない言葉が 微睡に心地よく、響いているのだった。

ともだちにシェアしよう!