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第127話 恋とスパイは使いよう
普段は細めに見えるマルクだったが、シャツの下からは軍人らしく鍛えられ引き締まった身体が現れた。
服の上から触っていて、そうなんだろうな、とは予想していたシアーゼだったが
改めて目の前にすると、その美しい肉体はつい生唾を飲んでしまうくらいだった。
「でも俺も、シアーゼちゃんみたいに弁えられるよう努力するよ…
だからさ……そんな風に傷付かないで…」
絶頂の後、徐々に身体は冷えていくはずなのに
どこか頭がまだ熱に浮かされているようで、シアーゼにはマルクの言っている言葉の意味がいまいちよく理解できなくて。
だけど、傷付かないで、と言いながら彼の方がなんだか傷付いているような顔をするから。
「…俺は烏滸がましい男ですよ……あなただって本来は、口が聞けないくらいの身分違いで
所詮は人間以下の存在なんですから…」
マルクは何か言いたげに口を歪めていたが、シアーゼは先程まではぐちゃぐちゃに弄られていた場所に今は触れてもらえていない事がもどかしくて
彼の腰辺りに片足を巻き付けて、すりすりと彼の背中を足で撫でた。
「でも…今あなたが欲しいんです…」
身体が熱い。
感情を忘れるために淫乱になった身体が、性欲と恋の区別も付けられなくなって
それはどんなに虚しいことなのだろうか。
恋なんてどうせしない、必要がない。
だって本当の恋なんて何にも使えない、役立たずなもののはずだから。
それなのに。
「…俺を愛して、マルク…
誰でもない…俺は今あなたに愛されたいんです」
使えないものを、どうして見たがっているというのだろう。
そんな役立たずのものを大層大事に抱え込んで、翻弄されて振り回されて、傷付いて
それでも捨てようとしない目の前の男は、濡れた青い瞳を細めながら
身体を折ってシアーゼの唇に口付けた。
「愛してる、シアーゼ」
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