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第127話 恋とスパイは使いよう

理性が吹っ飛び、取り繕う事も考える事も忘れ ぱたぱたと頬に涙が伝ってしまう。 「本当に...?」 「当たり前じゃん...!寧ろその...エロすぎて..ですね」 苦笑しながらもマルクは涙を拭ってくれる。 シアーゼは絡めた指にぎゅっと力を込めながら彼を見つめ続けた。 「では.....いっぱいしてください...」 「....っ」 彼の青い瞳は熱を絡め、唇を奪われる。 再び床に押し倒されながら激しいキスが繰り返される。 唇が離れると、首筋や胸や横腹などに彼のキスが降り注ぎ、その度に触れられた場所が熱を持つ。 足を広げさせられ、その間へ舌が滑り込んできた。 「ん...はぁ...っ、ぁ...」 舌と指が体に埋め込まれていき、ぞくぞくと背中が反っていく。 人差し指を噛みながらも、真っ暗な闇を見上げる。 何度も何度も味わってきているはずで、一時期は嫌で嫌で仕方がなかったことなのに 今は純粋に欲望に流されていく。 「...シアーゼちゃんとろとろ...」 二本の指で蹂躙され、腰が揺れていってしまう。 早く欲しくて彼を見つめるとマルクはため息をつきながら頬にキスをしてくる。 「なんで急にそんな風になっちゃったのさ...」 シアーゼは我慢できなくなってしまい彼の首に両手を回して、ぎゅっと抱きついた。 「......インランなのです....」 「...ほう」 適当なことを言いながらも続きをねだるように彼の耳朶を甘噛みした。 まともな思考が出来なくなっていたのだが淫乱なのは違いないのかもしれない。 それ故に上手くやってこれたのだ。 例えそこに愛はなくても。 何故だかまた涙が溢れていたのだが、熱に浮かされた頭では自分が今どういう感情を持っているのかすらわからなくて。 マルクはシアーゼの体から指を引き抜きぎゅっと抱き締めてくる。 「シアーゼちゃん....、 これからは、俺にだけ見せて俺にだけ愛させて」 「........マルク...?」 泣いているような声が耳元で聞こえ、シアーゼは熱の隙間に別の何かを感じてハッとなる。 「シアーゼちゃん、俺はね、シアーゼちゃんがシアーゼちゃんだから触れたくて一つになりたいんだよ 誰でもいいわけじゃないから」 「....え?」 「だからシアーゼちゃんが、俺のこと別に好きじゃ無いんだったら 俺は君に触れないでいるから」 青い瞳から溢れる雫を見て、 真っ白な思考がその色に染まっていくような気がした。

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