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波乱のはじまり
怖いくらいに静まり返ったリビング。親父達が、蓮を買い物に連れ出してくれて、3人だけにしてくれた。
キッチンのテーブルに肩を並べて座る涼太と葵。二人ともそっぽを向き、三十分以上一言も会話を交わしていない。俺はソファーに腰を下ろし、そんな二人を見守る事しか出来ない。
お袋のビックリ発言にしばし固まっていた二人。唖然とする涼太に対し、葵は嬉しそうに顔を綻ばせていた。
「・・・ねぇ、宮尾さん・・・」
頬杖をつきながら涼太がぼそっと呟いた。
「あ、何だ?」
「真生のどの部位が好き?」
「はぁ⁉今、この状況で聞くことか?」
「ないならいい。真生とはカラダだけの付き合いだったんでしょ。ようは、遊び」
「な訳あるか!全部だよ。唇は、見た目と違って柔らかいし、肌も吸い付くように滑らかで、35才だとは思えない色っぽさがたまらない」
「ふぅ~~ん」
「そういう涼太は?」
「え?僕?僕は勿論、真生のぜ・ん・ぶ。後ろの蕾なんて、少し触っただけで、花が咲く様に綻ぶだよ。早くってせがんでくるし。なかなかカワイイよ」
あの、お前ら・・・。
さっきから黙って聞いてれば、口に出すのも恥ずかしい事をいとも簡単に・・・
「涼太も、葵も」
止めろ‼って続けるつもりが、
「一緒に暮らすって事は当然エッチ込みでしょう。ねぇ、真生。僕たち二人同時に相手に出来るの?」
痛いところを鋭く指摘され、反論すら出来なかった。
「僕は、真生と蓮くんがいればそれでいいよ」
涼太が右隣に移動してきて、右手に指を絡ませ、恋人繋ぎをしてくれた。それを見た葵は当然ながら面白くない。むすっとしてつかさず左隣に滑り込んできて、涼太みたく手を握ってくれた。
「俺も、真生と蓮が側にいてくれればそれでいい」
二人に熱い視線を送られ答えを迫られた。年甲斐もなく胸がドキドキして、体温が一気に上昇した。気恥ずかしくて下を向いたまま小さく頷くと、握り締められた手に力が籠められたのが分かった。
「宮尾さん、あまり浮かれないでね。真生は僕の恋人なんだからね。あと、蓮くんがパニックを起こさないようちゃんと分かりやすく説明してあげないと」
「言われなくても分かってる」
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