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大事な夫婦の時間
「・・・っ・・・ん」
鼻に掛かったような溜め息が思わず漏れた。
それ以上されたら・・・もう、だめ。
腰が勝手にピクピク震えて、俺のものが、ズボンの中でぐんぐんと、その存在感を誇示し始めた。
「あのさぁ、宮尾さん‼」
ものすごく怒ってるのかと思えば、そうでもなく。
「宮尾さんに、夫婦の時間を邪魔する権限はないでしょ」
「はい、はい、分かりました。退ければいいんだろう⁉」
すっと、葵の手が、スボンの中から離れ、ずっしりとした彼の重みも離れていく。
一抹の寂しさを覚えるもの、すぐに、涼太の体が、上に乗ってきた。
愛おしい彼の重み。こうして、重なって、触れるだけで、幸せな気持ちになれるから不思議だ。
「あんなクソみたいなのと付き合っていた僕の事、軽蔑したでしょう⁉嫌いになったでしょう⁉」
「涼太・・・」
そんな悲しい眼差しで見ないでくれ。
「そんなので、嫌いになるわけないだろ」
「本当に?」
「あぁ。だって、涼太は涼太だろ。昔の嫌な事はもう忘れろ。涼太は、蓮のママで、俺の大事な旦那さん・・・だろ」
涼太の首に腕を回し、自分の方に引き寄せ、彼の口唇に軽く唇を押し付けた。
「うん、ありがとう」
腰に涼太の腕が回ってきて、ムギューーと抱き締められた。
耳元で、「真生、大好き」そう甘く囁かれ、年甲斐もなく、胸がキュンとした。
「俺も・・・」
熱い眼差しで見詰められ、うっとりしていると、額や、頬、上顎や、唇に優しく口付けを何度もしてくれた。
幸せ過ぎて、にやにやが止まらない。
涼太に変に思われないといいが。
「あのさぁ、俺の存在忘れてない⁉」
深い溜め息を吐き、あきらかに苛立っている様子の葵。
「忘れてないよ。葵も、俺の大事な旦那さんだよ」
右手を伸ばし、「おいで」、そう言うと、速攻で突っ込んできた。
「蓮じゃないんだから、いちいち騒ぐな。親父と、お袋、下で寝てるから、静かにしないと」
「だって、真生に可愛いこと言われて、我慢出来なくなった」
「はい、はい」
手を伸ばし、彼の頭を撫で撫でしてやった。
意外と子供っぽい葵も、勿論好き。
ん⁉何か、腹に当たる・・・。
葵のポケットに、何か入ってる。プラスチックの・・・容器⁉
「あっ、これ」
葵が、嬉しそうに取り出したのは・・・。
「ひんやりヌレヌレローション⁉」
涼太、読むな‼お願いだから。
こっちまで恥ずかしくなる。
「ネットで見付けた」
「へぇ~」
二人がムクッと、体を起こした。
涼太が、葵からローションを受け取ると、これまた、嬉しそうに微笑んで、その容器を眺めていた。
何か、嫌な予感・・・。
涼太‼まず、冷静になろう‼
葵に乗せられては駄目だ‼
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