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第19話
「ふふ、やっぱり新鮮」
アキラの食事の様子を見て言ってしまうコウジ。
「何が?」
「こうやってご飯一緒に食べるの、また二人の時は一緒に食べようね」
そう、まっすぐ誘う。
「…お前こそ変わってる」
アキラは一瞬無言になるが、ぽつりと言う。
「な、どこが?」
すぐ聞き返すコウジ。
「あれだけ嫌ってた相手に…」
よく機嫌良く話ができるな…と。
「それは、誤解してただけだし、アキ兄の、ほんとうが分かったから、もう嫌ってないよ」
優しい瞳を向けて、偽りなく伝える。
「……」
「むしろ、もっとアキ兄のいろんなところを知りたくなったし、僕がほっとかないっていったらしつこいからね!覚悟してね!」
宣戦布告のように言うコウジ。
「…馬鹿」
自分なんかに関わりたがるなんて…よほどのバカだ…
「バカじゃないよーだ、天才でもないけどね、普通が一番!」
コウジはニコニコ笑っている。
そしてさらに話しかけてくる。
昔からコウジはよくしゃべる、口達者な子どもだったから。
ころころ表情を変えながら喋るコウジは、見ていて飽きることはない…
「……食事してるときくらい静かにしてろよな」
呆れ口調で言うアキラ…
「なんで~せっかく盛り上げてるのに」
不服そうに頬を膨らませるコウジ。
アキラはそんなコウジの様子がおかしくて笑ってしまう。
口ではそう、言ってみるが、賑やかなコウジのおかげで吐き気に苦しむことなく食事を終えたアキラ…
たまには誰かと食べるのもいいかな…と心の中で思うのだった…。
それ以降、コウジは何かとアキラを構うようになる。
アキラはそれをうるさがりながらも、心の内では許していき…
険悪だった兄弟はお互いをしっかり認識して、お互い無いものを補いながら成長していくのだった…。
【軌跡への真実】終
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