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俺たちの形①

 最近、真雪さんと敦が会議室にこもって何か話をしてるところをよく見かける。ガラス越しの二人の表情が険しいのを見てちょっと気にはなるものの、何となく俺が立ち入ってはいけない雰囲気なのがわかるから、仕事で敦と一緒のことがあってもこちらから詮索するようなことはしなかった。  ここのところ敦はモデルの仕事よりもテレビの仕事が増え、どちらかといえばタレント業の方がメインみたいになっている。敦は俺なんかよりずっと忙しく休みも無いような状態だったから、きっと今後の仕事のことなどを話し合ってるんだろうとそう思っていた。 「あれ? 今日は珍しいね。もう帰り?」  俺が事務所で帰る支度をしていると、私服姿の敦と鉢合わせた。こうやって会って話をするのは久しぶりな気がする。 「うん、志音も? ……あ、たまには一緒にご飯行かない? 志音に特別に話したいこともあるしさ」  そう言って敦は何やら含みのある言い方をした。敦の表情を見ていると、俺にとってはあんまりいい話でもなさそうな気がして少し警戒してしまう。敦は俺がこの事務所に来てからずっと俺のことを気にかけてくれ、仕事でも頼りになるお兄ちゃんみたいな存在だ。それでもどうにもプライベートは派手で賑やかなのが好きな敦だから、それに巻き込まれることがよくあった。俺はそういうのはちょっと苦手だから、敦の強引なところは正直あまり好きではなかった。 「話って何? 特別って……なんか嫌なんだけど」 「は? 何が嫌なんだよ。いいから行くぞ! 今日は俺が奢るからさ」  やっぱり敦の強引さに負け、俺は一緒に飯に行くことになってしまった。  連れてこられたのは敦が好んで利用しているイタリアンの店。ここは俺も何度か連れて来てもらったことがあるし、薄暗い店の雰囲気もいいので陸也さんとのデートで使わせてもらったことがある。話があると言っていたから予約でも入れていたのか、着くなり一番奥の個室に案内された。  席に着くと早速敦が何かを言いたそうにしている。それでも腹が減ってた俺は知らんふりしてメニューを開いた。  そもそも俺にだけ特別に話したい事というのが気にかかる。面倒ごとはごめんだ。それでも来てしまった以上聞かないわけにはいかず、適当に食べたいものを伝えてから、そわそわしている敦の顔を見た。 「……どうしたの? 俺に話したいことって?」  変にいつまでもそわそわモジモジしている敦にイラっとして自分から聞いた。いつもの敦らしくないしモジモジしてるのが気持ち悪い。 「なんなの? 自分から俺に話があるって言ったんじゃん」 「あ……そうなんだけど、いざ話そうってなると……へへ、なんか恥ずかしいな」  ……恥ずかしいことなのか?  そうとわかったら俄然興味が湧いてくる。自分に降りかかりそうな迷惑ごとじゃなければ何でもいいと思ってしまう俺もちょっと酷いな。 「なんだよ、早く話せって」  調子に乗って急かしたら、コホンとわざとらしく咳払いをした敦がやっと話を切り出した。

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