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屋上その後①/康介の場合

修斗さんとよりを戻せたあの日の話── 屋上で二人で泣きながら笑いあって……俺にとってこの人がやっぱり必要なんだと再認識した。 長い人生のうちの一瞬でしかない事だけど、修斗さんと離れていたこの時間は、俺にとって忘れられないくらい長くて辛い時間であって、もう二度とあんな思いをするのはゴメンだって心底思う。 自分自身にも素直になる。 思いはちゃんと伝えること…… ちゃんと伝えないと間違って伝わってしまう時もあるから。 俺はこの事があったから、修斗さんの事を好きでいる自信が更についたよ。 きっとこの思いは変わらない。 屋上に閉じ込められた。 気持ちが伝わって、沢山キスをした。離れていた寂しくて辛い時を取り戻すように、お互い求めて求め合って、沢山キスをした。 抱きしめてキスをして……修斗さんのいい匂いと柔らかな温もりを全身で感じたらさ、そりゃそうなるでしょう? ムラムラするでしょう…… だってずっと抱いてなかったんだよ? 修斗さんと会えなくなって避けられて、それこそ初めのうちは修斗さんを思いながらオナニーしたよ、そうだよ、健康的な男子だもん…… でもだんだんそれどころじゃなくなって、しばらく一人エッチもしていない。そんな状況で目の前にこんな色っぽい顔した修斗さんがいて、俺の事を見つめてるんだ。今すぐにでも押し倒して嬲り回したい。 「鍵、開かないならいいじゃん。ここで……しちゃお?」 修斗さんがお決まりの小悪魔な顔をして俺に言う。 「………… 」 いやいや! 外だし! 誰もこないって言ったって、いつ誰がここに来るかもわからないのに修斗さんのエロい姿を晒すわけにはいかないだろ。 気持ちは修斗さんと同意で今すぐにでもおっ始めたいんだけど、俺の中のお利口さんな部分と修斗さんへの執着心がストップをかける。 それにエッチするなら思いっきりやりたいじゃん。 思いっきり啼かせたいじゃん? ビクビクと周りを気にしながらなんてゴメンだ。 いくらダメだと言っても修斗さんはなんだかノリノリで俺に迫る。 「ねぇ……しちゃお?」 待って、やめて。 そんな可愛い顔をしてキスしてこないで。このままだと俺、抑えられなくなる。 「修斗さん、帰ること諦めないでください。ここから出ましょ! 二人で帰りましょ! ……ね?」 多分だけど、修斗さん、半分俺のこと揶揄って楽しんでるよね? 何とかここを脱出する方向にもって行き、修斗さんが高坂先生へ連絡を入れてくれた。 すぐに助けに来てくれた高坂先生は、思いっきり不機嫌丸出しで帰っていく。 真っ直ぐ帰れと何度も念を押されたけど帰るわけねえじゃん。 やっと、修斗さんが俺のところに戻ってくれたんだ。 早く修斗さんといちゃいちゃしたい。 めちゃくちゃにしてやりたい…… そんな邪なことを考えていたら、修斗さんにキュッとズボンのポケットを握られた。 「康介……ありがとな」 しおらしく俺を見つめ、遠慮がちにポケットを引っ張る姿が堪らなく可愛かった。 「へへ……どういたしまして」 普段なら恥ずかしくて無理だけど、今日は特別。別にやましいことをしてるわけじゃない。堂々としたっていいじゃないか。 そんな気持ちで俺は修斗さんの手を取った。 「たまには手……繋いで帰りましょ」 普段なら修斗さんに引っ張られてる俺だけど、俺だって男らしいところを見てもらいたい。 修斗さんが頼りにしてくれるような男になりたい。 「もうずっと離さないから……」 ギュッと強く修斗さんの手を握り、俺から離れたいなんてもう絶対に思わせない。そう思いながら足を進めた──

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