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初めての…⑩/好きになれてよかった

俺が戸惑ってると、祐飛が俺の腕を触った。 「大丈夫だから、直樹の好きにしていい……いっぱい慣らしてくれたから……俺、痛くないと思う……から」 涙目の祐飛が、俺がやり易いように気を遣ってか自分で腰を上げる。小さな声で「挿れて」なんて言うもんだから、俺は堪らずゴメンって謝りながらグッとそこに押し挿れた。 「あっ!……んあっ、直樹……」 祐飛が俺に抱きついてくる。 思いっきり突っ込んでしまったかと思ったけど案外奥までは入っておらず、それなのにもう射精感がこみ上げてくる。 やばい……まだちゃんと挿れてもないのにイッちゃいそう。 「あ……祐飛……やべ……気持ちい」 「直樹、奥まで……いいよ」 ダメだよ……奥まで挿れたら、てか今動いたら俺イッちゃう。 祐飛が可愛く俺にしがみついてくるし、耳元で吐息が聞こえるし……もうダメ。 「あっ……ご、ごめん、祐飛、俺……俺……もうイッちゃう」 「……え」 ……やっちまった。 俺、何にもしてねえのに。ショックだ。 祐飛が何とも言えない表情で俺を見ている。 うわ……情けねえ。 「直樹?」 祐飛の中から抜き、自分でゴムをパチンと外す。さっきまであんなに気持ちが昂ぶってたのが嘘みたいに、今は情けない気持ちでいっぱいだった。 「直樹、そんなに俺の中、気持ちよかったの?」 俺がショックで放心していると、起き上がってきた祐飛が悪戯っぽく笑いながら聞いてきた。 笑うことねえじゃん。 「ふふ……なんか、嬉しい」 「嬉しい?」 祐飛は嬉しいって言って、俺にぎゅっと抱きついてキスをする。 長い長い甘いキス。 「直樹が俺のことでいっぱいいっぱいになってんの、やっぱりすごい嬉しいな。好きだよ、直樹……」 愛おしそうに俺を見る祐飛にまたムラムラしてくる。祐飛が可愛すぎておかしくなりそう。祐飛を見てたらショックで落ちた気分が段々薄れてきてちょっと余裕ができた。 「えっ?……ちょっと? なに?」 俺は祐飛をまた押し倒すと、祐飛のチンコにそっと触れる。ちょっと柔らかくなっちゃってたけど、俺が弄っていたら段々硬くなってきた。俺、余裕なかったし気がつかなかったけど、俺ばっかいい思いして、祐飛はまだイッてない。 「ごめんね……俺がイかせてあげるから。祐飛もイッて」 そう言って俺は祐飛のそれを優しく扱く。頬にキス、首にキス、胸に…乳首にキスをする。その度にビクビクと感じてくれて、俺も何だか気持ちがいい。そのまま硬くなった祐飛のを口に含んでゆっくりと舐め回す。さっきまで小さく喘いでいた祐飛の声が徐々に大きくなっていき、俺の頭をそっと撫でた。 でも本当、信じらんない。 祐飛とこんなことしてるなんてさ。 俺はずっとずっと祐飛のことだけを見てきたけど、祐飛はそうじゃない。俺からの告白にすごい悩んで、おまけに俺のせいで酷い目にあってきて……下手したら俺は恨まれたり嫌われていてもおかしくなかった。それなのに祐飛は俺を許してくれて「好きだ」とまで言ってくれた。 俺は幸せ者だ── 祐飛が俺の口の中で精を吐き出す。温かくてちょっと生臭い感触が口に広がる。でも全然嫌じゃなかったからなんの躊躇いもなく俺はそれを飲み込んだ。 「直樹? どうした?……ごめん……ごめん直樹! 泣くほど嫌なら吐き出せよ。ごめんな、口の中に出しちゃって……気持ちよすぎて俺、我慢できなかった」 情けない。 俺は幸せすぎて涙が止まらなかった。 「違う……そうじゃないんだ。嫌なんじゃなくてさ……ごめん、俺、嬉しくて……幸せすぎて……はは、嬉しくて涙止まんねえ……」 オロオロと俺を心配して謝ってる祐飛に正直に話した。 幸せすぎて泣いてるなんてアホみたいだ。でも本当にそうなんだからしょうがない。 キョトンとしていた祐飛は、くすっと笑って抱きしめてくれた。そして「バカだな」なんて小さく呟き祐飛も泣くもんだから益々涙が止まらなくなってしまって、やっぱり俺はバカみたいに祐飛の胸で泣いてしまった。 しばらくして、すっかり泣き止んだ俺は、今度は恥ずかしくてどうにも祐飛の顔を見ることができない。まるで子をあやすような感じで俺を抱きしめている祐飛。どうやって顔を上げたらいいんだ? 「……落ち着いた?」 頭上から祐飛の声がする。頭を撫でてくれる手が優しい。 「うん。なんか、ごめん」 顔を上げると目の前に祐飛の顔。俺を見て笑ってる。 「俺って凄く愛されてんだな。直樹、ありがとう。これからも……よろしくな。俺、直樹と一緒にいてよかった。好きになれてよかった……」 楽しいはずの中学、高校時代を俺のせいで最悪にしてしまった。でもこれから二人でいっぱい思い出作って、幸せな思い出をいっぱい作るんだ。 「俺を認めてくれたこと、絶対に後悔させないから。幸せにする。だから俺のことも幸せにして。ね? 俺のこともいっぱい愛して……」 そう言ったら祐飛は笑った。 「やっぱり直樹はそうだよな」 「ん?」 男らしいところと情けないところが俺らしいって……ちょっとバカにされてる感あるけど、そんなのどうでもいいや。 「二人でいれば、幸せだろ?」 カッコよく笑ってそう言う祐飛に、俺は「うん」と頷くしかなかった。 ── 初めての… 終わり ──

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