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周&修斗 一泊だけの共同生活 ⑧

なんとなく眠りが浅く、ウトウトしかけたと思ったら突然何かに頭を引っ叩かれた。びっくりして目を開けると目の前に鬼の形相の康介の姿。その背後には苦笑いの竜太が立っている。 「あ! 竜太おはよ! 帰り今日だったか! 早かったな、今何時だ……?」 俺は嬉しくて竜太に触れようとベッドから起き上がろうとしたら、康介に肩をグッと掴まれ、また平手で頭を引っ叩かれる。 「おい! 俺を無視すんな! どういう状況? 何で周さんが修斗さんと一緒に寝てんだよ! 理由によっちゃ今度はグーで殴るぞ!」 ああ、そういやそうだった。修斗も康介の騒がしい声で目を覚まし、顔を擦りながら体を起こした。 「あれ? 康介だ……おはよ。あ……竜太君、お邪魔してまーす」 半分まだ寝惚けながらボソボソっと喋る修斗に、竜太はいつもの笑顔で「おはようございます」と返す。とりあえず真っ赤な顔で怒り心頭な康介に事情を説明すると、今度はそれを聞いた修斗が「余計な事を言うな」と怒り始めた。 「もう、何やってんすか! 修斗さん、ちゃんと起きて、ほら……ごめんね。俺が悪かったから……ね? 一緒に帰ろ。……ごめんなさい。修斗さん、起きて」 意外にも康介の方が恥ずかしげもなく素直に修斗に謝った。きっと康介は康介で竜太に何か言われたのだろう。横で満足そうにしている竜太と目が合う。これで俺も修斗から解放されて、竜太と二人になれるとホッとしていたら、康介に睨まれた。 「周さんもどうかと思いますよ。何で人の恋人と一緒にくっ付いて寝てんすか。竜がどう思うか考えないの? バカなの?」 は? 康介、今俺のことバカって言ったか? お前に言われたかねーよクソが! 「あ、康介……僕は平気だよ。ごめんね、周さん修斗さんに変な気なんて起こさないから、心配しないで」 竜太が康介に笑って話すのを聞きながら、当たり前だ! ってムッとした。でもそうだよな。いくら俺のこと信用してくれてるからってベッドで他人と寝ていたらいい気はしないよな。 「修斗も早く康介と一緒に帰れ! せっかく竜太来てんのにお前ら邪魔だよ」 「あ、待って……髪のセットしてねえ」 「修斗さん! そんなのいいから……いや、セットしてなくてもかっこいいから! ほら、行きましょ。着替えて着替えて」 康介がもたもたしている修斗をベッドから引きずり出し、着替えを手伝う。見てると修斗は嬉しそうにしてるからちょっとホッとした。 それからあっという間に修斗と康介は帰っていき、竜太と二人きり。ベッドに腰掛ける俺の隣にちょこんと座った竜太は、俺の腰に手を回してきて軽く抱きつく。 「周さん……ただいま」 上目遣いで俺を見てから軽くキス。いつもと変わらない竜太だけど、さっきの康介の言葉が気になってしまった。 「あ……のさ、なんかごめんな。嫌だったよな?」 「……? 何がですか?」 キョトンとする竜太は本当に「何のこと?」と言ってるようで困ってしまう。 「修斗と一緒に寝てたの、あれほんと何ともないんだからな?」 こういう風に言うこと自体がやましい感じがしてしまって、竜太の顔をしっかり見ることができない。そもそも本当にそんな風に考えもしなかったから、ありもしない事を弁解してるようで嫌だった。 「ふふ……大丈夫ですよ、気にしてませんて。そりゃ以前は妬きもしましたよ、修斗さんとの仲に。でももう平気なんです。周さんと修斗さんは特別なんだって理解しましたから」 特別って何だよ? 「周さんにとっても修斗さんにとっても、お互いに家族みたいな存在でしょ? 小さい頃から一緒で……そう、僕と康介も一緒です。それに周さんは僕のことが大好きでしょ? 僕以外にエッチな気分になんかならないってわかってますから。周さんが僕のことを愛してるって僕がちゃんと信じてるから大丈夫ですよ」 はにかんで笑う竜太に見惚れる。 ……ほんと天使かよ、って思う俺は竜太の言う通り、こいつ以外考えらんねえな。 「だって僕と康介が同じ状況でも周さんも平気でしょ?」 試すような目をして俺を見る。いや、ダメに決まってるだろ。 「平気じゃない……絶対嫌だ」 「ええ? 康介ですよ? ヤキモチなんて可笑しい」 ケタケタと笑う竜太に慌てて俺は「絶対ダメ」だと念を押す。ガキの頃からの竜太を知っていて、ましてや竜太は康介しか友達がいなかったなんて聞いたら、正直一緒にいるだけで妬けてくる。それだけ俺は心が狭い人間なんだ。 「ダメ……竜太は俺だけ見てればいいんだ」 楽しそうに笑う竜太にギュッと抱きつく。そんな俺を見て、さらに竜太は嬉しそうに笑った。 ──周&修斗 一泊だけの共同生活 終わり──

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