「じゃ…さようなら」 コウヤはいつもと変わらない笑顔でサクヤにお別れをいう。 「お疲れ様でした…」 サクヤもいつも通り挨拶をして帰っていく。 そして、コウヤとみずきもBOUSを後にする… コウヤとの別れを受け入れて……。 連絡先もなにも教えてくれなかったけれど…でも、それは決して、自分と縁を切りたいからではないことを…よく分かっているから。 コウヤさんは信じてくれている… 将来オレが…必ず幸せに暮らしていけるようになることを… だから、自分も信じる。 コウヤさんも、新しい所で、成功して心の底から笑っている姿を… コウヤさんの身近にいられたからよく分かったこと… コウヤさんは、いつも微笑んでいたけれど… その微笑みは…いつもどこか感情を抑えて本心を隠しているような違和感があった。 コウヤさん自身、それに気付いていたんだと思う。 嬉しい時でも…悲しい時でも…それを表に出せない環境があったから… だから、コウヤさんを押さえ付けるものがない環境でなら、きっと大丈夫だと思うから… 道は唐突に別れてしまったけれど… 絶対に幸せになる。 そのひとつの約束を胸に… お互いの月日は流れていくのだった……。 ［【静思の歪み】みずき過去編終了］