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出逢い・睦月side

初めまして、僕は水無瀬睦月(みなせむつき)といいます。歳は18です。 大学進学をきっかけにこの春、地方の超がつく田舎から超がつく都会に引っ越してきました。 そして今日、初めて満員ラッシュというものに遭遇したのですがーー ――何これ何これ意味わかんない 僕はさっきから呪文のようにこんな言葉を繰り返していた。 だって電車に乗った瞬間、誰かに押されて隅に追いやられて、ラッシュでギューギューなのを良いことに体を撫で回されてるとか。お尻をムギュムギュされているとか。 ――ほんと意味分かんないよおおおぉお!!! どうして僕?周りには女子もOLさんも居るのに…いやいや彼女たちが痴漢に遭えば良いってワケじゃないけど、でも!それにしたってどうして僕!? 「ッ!」 やわやわとお尻を揉んでいた手が前に向かう。 ズボン越しとはいえ中心を触られて僕は危うく悲鳴を上げそうになった。慌てて口に手を当てる。 「…可愛いね…そんな必死に我慢して…」 背後から痴漢の声がする。オジサンだ。荒い鼻息が耳にかかって気持ち悪い。 ――どうしよう、どうしよう…どうしたらいい…!? 僕は焦る。目にはジワッと涙まで浮かんでしまった。 こんな事されるの人生初めてで、これから先に何をされるか分かんなすぎて怖い。 いっそ大声出して暴れて逃げたい。だけど全身も喉も強張って言葉が出ない。 それに、僕は男だ。男が男に痴漢されるって、情けなさすぎないか?周りに知られるのも恥ずかしい。このまま耐えてたらそのうち飽きるんじゃないか? そんな事を悠長にぐるぐる考えていたら、とうとうズボンの中に手が侵入してきた。僕の体はビクッと跳ねて震えだす。

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