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【異端ノ魔導師と血ノ奴隷】 第六章◆精霊王ノ瞳~Ⅹ (9/29更新) | 嵩都 靖一朗の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
【異端ノ魔導師と血ノ奴隷】
第六章◆精霊王ノ瞳~Ⅹ (9/29更新)
作者:
嵩都 靖一朗
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第六章◆精霊王ノ瞳~Ⅹ (9/29更新)
昇華
(
しょうか
)
した
杖
(
つえ
)
を高く
振
(
ふ
)
り
掲
(
かか
)
げた
彼
(
かれ
)
の
指先
(
ゆびさき
)
は、 ほんの
僅
(
わず
)
かに
柄
(
え
)
を
撫
(
な
)
で、 フワリ ...
虚空
(
こくう
)
に
枝葉
(
えだは
)
でも
添
(
そ
)
えるような
動作
(
どうさ
)
で
下方
(
かほう
)
へと
放
(
はな
)
ち、
境界
(
きょうかい
)
を切り
開
(
ひら
)
く。 すると。 水のように
溢
(
あふ
)
れ
飛散
(
ひさん
)
する
液状
(
えきじょう
)
の何かを
浴
(
あ
)
びた
城
(
しろ
)
が、
街
(
まち
)
が、
地盤
(
じばん
)
が、
同質
(
どうしつ
)
の
流動態
(
りゅうどうたい
)
へと
変
(
へん
)
じ、流れ
落
(
お
)
ちる
様
(
さま
)
を
目
(
ま
)
の
当
(
あ
)
たりにした
瞬間
(
しゅんかん
)
。 思いも
寄
(
よ
)
らず、知ることとなった。 この
場
(
ば
)
に
存在
(
そんざい
)
する
者
(
もの
)
は
皆
(
みな
)
、 あたかも
実在
(
じつざい
)
するかのように
映
(
うつ
)
し出された
閃影
(
せんえい
)
と
現実
(
げんじつ
)
を
取
(
と
)
り
違
(
ちが
)
え、
錯覚
(
さっかく
)
しているに
過
(
す
)
ぎなかったのだと。
鐘楼
(
しょうろう
)
の
淵
(
ふち
)
まで歩き、
城下
(
じょうか
)
を
見下
(
みお
)
ろすクロイツの
視線
(
しせん
)
の
先
(
さき
)
では、
石ノ杜
(
いしのもり
)
が
有
(
ゆう
)
する
多
(
おお
)
くの
謎
(
なぞ
)
の
正体
(
しょうたい
)
が ...
白日
(
はくじつ
)
の
下
(
もと
)
に
晒
(
さら
)
されようとしている。
後始末
(
あとしまつ
)
を
済
(
す
)
ませ
駆
(
か
)
け
付
(
つ
)
けたノシュウェルは、
震
(
ふる
)
える
後姿
(
うしろすがた
)
を
間近
(
まぢか
)
に見るなり、立ち止まって
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。 あれは本当にクロイツなのだろうか。 目を
疑
(
うたが
)
うと
同時
(
どうじ
)
に、自分なんかが
肩
(
かた
)
を
並
(
なら
)
べ見ていいものか
悩
(
なや
)
む。
結局
(
けっきょく
)
のところ、
二人仲良
(
ふたりなかよく
)
く
遠
(
とおい
)
い目をして
眺
(
なが
)
める事と
相俟
(
あいま
)
ったが。
流動
(
りゅうどう
)
する
硝子
(
ガラス
)
のように
変質
(
へんしつ
)
した
建造物群
(
けんぞうぶつぐん
)
を見せられたところで、
理解
(
りかい
)
が
追
(
お
)
い
付
(
つ
)
かないのだ。 ああ、もう、何と言うか ... ... 「「帰りたい ... ... 」」 その
一言
(
ひとこと
)
に
尽
(
つ
)
きる。 何もかも
投
(
な
)
げ出して
寝台
(
ベッド
)
に
転
(
ころ
)
がり、
不貞寝
(
ふてね
)
できたら夢のよう。
珍
(
めずら
)
しく声を
揃
(
そろ
)
え、
口々
(
くちぐち
)
に
呟
(
つぶや
)
く二人にとっては
最早
(
もはや
)
、
欠
(
か
)
かせない。
現実逃避
(
げんじつとうひ
)
のお
時間
(
じかん
)
である。
沈
(
しず
)
みゆくは ... アイゼリア
首都
(
しゅと
)
、
中心部
(
ちゅうしんぶ
)
。
蒼ノ細粒
(
あおのさいりゅう
)
と
化
(
か
)
した
魔物
(
キメラ
)
の
残態
(
ざんたい
)
は、 いつしか
光媒
(
こうばい
)
を
宿
(
やど
)
す
蝶
(
ちょう
)
へと
変貌
(
へんぼう
)
し、
彼
(
か
)
ノ魔導師を
取
(
と
)
り
巻
(
ま
)
いた。 クロイツとノシュウェルは、ただそれを
見送
(
みおく
)
るのみ。 そう、あれは ... ...
天変地異
(
てんぺんちい
)
... いや、
奇跡
(
きせき
)
をも
掌智掌握
(
しょうちしょあく
)
し
得
(
う
)
る
異次元ノ才覚
(
いじげんのさいかく
)
を
授
(
さず
)
けられた。
無我ノ傀儡
(
むがのくぐつ
)
... ... なのに、まるで人のように笑う。 あの日、クロイツの
胸中
(
きょうちゅう
)
を
読
(
よ
)
み
取
(
と
)
った彼は、 何の
前触
(
まえぶ
)
れも
無
(
な
)
く、こう
説
(
と
)
いた。 『人の心は
可能性
(
かのうせい
)
と言う
量子的揺
(
りょうしてきゆ
)
らぎに
作用
(
さよう
)
する
意識ノ共晶
(
いしきのきょうしょう
)
。
安易
(
あんい
)
に心を
開
(
ひら
)
けば
精神世界
(
スフィラ
)
に意識が
溶出
(
ようしゅつ
)
し
兼
(
か
)
ねないので。
叡智ノ結晶
(
えいちのけっしょう
)
と
直結
(
ちょっけつ
)
した
中枢
(
ちゅうすう
)
を
治
(
おさ
)
めるには、
危険
(
リスク
)
を
伴
(
ともな
)
う。
高次元学問
(
こうじげんがくもん
)
の
信託者
(
しんたくしゃ
)
であるシャンテの
民
(
たみ
)
が、
自
(
おの
)
ずと
叡智
(
えいち
)
に
触
(
ふ
)
れようとしなかったのはそのため。
中枢ノ番人
(
ちゅうすうのばんにん
)
が
有
(
ゆう
)
する
高度
(
こうど
)
な
意識構造
(
いしきこうぞう
)
とは、 つまり ... 意識の
至
(
いた
)
る
所
(
ところ
)
に
鍵
(
かぎ
)
をかけるかたちで
制限
(
せいげん
)
、
先鋭化
(
せんえいか
)
を
可能
(
かのう
)
にする
回路
(
かいろ
)
のようなものであり。 それらは、あらゆる
次元
(
じげん
)
の
情報
(
じょうほう
)
が
思考
(
しこう
)
を
掻
(
か
)
き
乱
(
みだ
)
すのを
防
(
ふせ
)
ぐと
同時
(
どうじ
)
に、
意識
(
いしき
)
の
耐溶媒性
(
たいようばいせい
)
を高めるため、
必要
(
ひつよう
)
だった。 そうでもしなければ、どうなるか」 はじめ
困惑
(
こんわく
)
するものの。 聞くうち
胸
(
むね
)
が
詰
(
つ
)
まるのを感じる。
辛
(
から
)
くも、クロイツは答えた。 「心が
融
(
と
)
け出し、
穴
(
あな
)
が
空
(
あ
)
いてしまうという
理由
(
わけ
)
だな」 そう。
彼等
(
かれら
)
は
元
(
もと
)
より、
集合意識
(
しゅうごういしき
)
へ
接続
(
アクセス
)
する
術
(
すべ
)
を
持
(
も
)
たない。
情緒
(
じょうちょ
)
など
理解
(
りかい
)
する
必要
(
ひつよう
)
もない
存在
(
そんざい
)
である。 人の
心
(
こころ
)
を
開
(
ひら
)
く
鍵
(
かぎ
)
など、
持
(
も
)
ち
合
(
あ
)
わせているはずがないのだ。 それでも、
吐
(
は
)
き
気
(
け
)
を
催
(
もよお
)
すほどの
憎悪
(
ぞうお
)
と
嫌悪感
(
けんおかん
)
が
薄
(
うす
)
れる
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
い。 しかしクロイツは
自身
(
じしん
)
の
感情
(
かんじょう
)
を
持
(
も
)
て
余
(
あま
)
さずして
扱
(
あつか
)
う
方法
(
ほうほう
)
を
知
(
し
)
っている。
責任
(
せきにん
)
や
感情
(
かんじょう
)
は ...
転嫁
(
てんか
)
できるのだ。 これぞ
理不尽
(
りふじん
)
。 ある意味クロイツらしい。 だが、そもそもフェレンスの
周
(
まわ
)
りに
真っ当
(
まっとう
)
な
人物
(
じんぶつ
)
がいられるはずは無いので、ご
愛敬
(
あいきょう
)
。 どうせなら、声に出して言ってやれば良かったとさえ思う。 けれど言葉にならなかった。
察
(
さっ
)
しは
付
(
つ
)
いたのに。 あらゆる
想
(
おも
)
いの
境地
(
きょうち
)
に
至
(
いた
)
る、人の心に
穴
(
あな
)
が
空
(
あ
)
く。
霧ノ病
(
きりのやまい
)
と
呼
(
よ
)
ばれる、その
症状
(
しょうじょう
)
は
人々
(
ひとびと
)
を
魔物
(
キメラ
)
へと
化
(
か
)
していった。
事
(
こと
)
の
発端
(
ほったん
)
は、心の
開放
(
かいほう
)
を
成
(
な
)
す〈
鍵
(
かぎ
)
〉を
操
(
あやつ
)
る
者
(
もの
)
の
反逆
(
はんぎゃく
)
。 さて、
誰
(
だれ
)
のことを
指
(
さ
)
しているやら。 何人か思い当たりるので
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
い。 クロイツは思った。 なるほど。つまり、この男は ... ... 鍵を
操
(
あやつ
)
る者と
接触
(
せっしょく
)
し、
既
(
すで
)
に
幾
(
いく
)
つかの
鍵
(
かぎ
)
を
外
(
はず
)
されている
不具合品
(
ポンコツ
)
なのだ。 ふざけた
話
(
はなし
)
である。
分
(
わ
)
かりきっていたとは言え。
嘲笑
(
あざわら
)
ってやるでもしなければ
気
(
き
)
が
済
(
す
)
まない。 何しろ、
相手
(
あいて
)
は
異端ノ魔導師
(
いたんのまどうし
)
。 だが、このポンコツめ ...
然
(
さ
)
も
仕方
(
しかた
)
のない
事
(
こと
)
のように
澄
(
す
)
ました
顔
(
かお
)
をしているが。
実際
(
じっさい
)
には
天変地異
(
てんぺんちい
)
をも
制
(
せい
)
する
力
(
ちから
)
の
持
(
も
)
ち
主
(
ぬし
)
である。
鍵
(
かぎ
)
を
操
(
あやつ
)
る者が
誰
(
だれ
)
かなんて
問題
(
もんだい
)
ではない。
受
(
う
)
け
入
(
い
)
れさえしなければ良かったものを ... ... !! こちとら
元軍人
(
もとぐんじん
)
でありながら、
現実逃避
(
げんじつとうひ
)
したくなるような
有様
(
ありさま
)
だと言うのに。 思い出したが
最後
(
さいご
)
、
益々腹
(
ますますはら
)
が立ってきた。 それでも
堪
(
こら
)
える。
堪
(
こら
)
えるしかないのだ。 今は
恩
(
おん
)
を
売
(
う
)
って
株
(
かぶ
)
を上げるべき時であるからして。
引
(
ひ
)
き
攣
(
つ
)
る顔で
深呼吸
(
しんこきゅう
)
をし、
気
(
き
)
を
取
(
と
)
り
直
(
なお
)
したクロイツは
囁
(
ささや
)
く。 「
我々
(
われわれ
)
も
時機
(
じき
)
に
追
(
お
)
わねばならぬ。行くぞ」
対
(
たい
)
しノシュウェルの
方
(
ほう
)
はと言うと、聞いているのか、いないのか。 クロイツに
小突
(
こづ
)
かれ、ようやく
我
(
われ
)
に
返
(
かえ
)
った。 と言うか、
悶絶
(
もんぜつ
)
。
鳩尾
(
みぞおち
)
に
肘鉄
(
ひじてつ
)
は
流石
(
さすが
)
に
堪
(
こた
)
える。 ただでさえ
腹
(
はら
)
が
減
(
へ
)
っているのに、きつい。 聞いてます ... 聞いてますってば ... ...
呻
(
うめ
)
くように言い
訳
(
わけ
)
するも、
前屈
(
まえかが
)
み。 クロイツは、そんな彼を
急突
(
せっつ
)
き前を歩かせた。 しかし、ノシュウェルの
足取
(
あしど
)
りは
重
(
おも
)
い。
軍師
(
ぐんし
)
として
当然
(
とうぜん
)
。 いざという時は
要人
(
ようじん
)
の
安全確保
(
あんぜんかくほ
)
に
努
(
つと
)
めるべきと。 頭では分かっているのに。 来た道を
戻
(
もど
)
るだけなのに。
狼狽
(
うろた
)
えずにはいられないと言うか。 まぁ、とにかく
恐
(
おそ
)
ろしい。 何せ、
透明
(
とうめい
)
なゼリーのように
変質
(
へんしつ
)
した
城下一帯
(
じょうかいったい
)
を目にしたばかりなので。 「 やゃゃゃゃやめて。おぉぉ
押
(
お
)
さないで」 「うるさい。
鈍間
(
のろま
)
め、さっさと
歩
(
ある
)
け!」 「そんなコト言ったって! どこから
階段
(
かいだん
)
に見える
蒟蒻
(
こんにゃく
)
かも分からないのに!」 「その時はその時と
腹
(
はら
)
を
括
(
くく
)
るのだ! どこまでも
蒟蒻
(
こんにゃく
)
を
攻略
(
こうりゃく
)
するつもりでな!」
嫌
(
いや
)
ぁあぁああぁぁぁぁ!! ぁあぁああぁぁぁぁ!! ... ぁぁぁぁ ... ... !!
木霊
(
こだま
)
するのは、ノシュウェルの
叫
(
さけ
)
び声ばかりだった。 ど こ ま で も
蒟 蒻
(
こんにゃく
)
じゃ 帰れる 気が しないもおぉおぉぉん ... ... !!
終
(
しま
)
いには
駄々
(
だだ
)
を
捏
(
こ
)
ねる
子供
(
こども
)
のような
台詞
(
せりふ
)
まで
聞
(
き
)
こえてきたけれど。 よくもこの
状況下
(
じょうきょうか
)
で、ああも
陽気
(
ようき
)
にふざけていられるものだなと思う。
不測
(
ふそく
)
の
事態
(
じたい
)
に
備
(
そな
)
え、
緊急時
(
きんきゅうじ
)
の
中継役
(
ちゅうけいやく
)
として
控
(
ひか
)
えていたヴォルトは、
鐘楼
(
しょうろう
)
の
傍
(
かたわ
)
ら ...
吸
(
す
)
い
込
(
こ
)
まれるように
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
下方
(
かほう
)
へと目を
向
(
む
)
けた。
城
(
しろ
)
と
共
(
とも
)
に
沈
(
しず
)
んで
消
(
き
)
えた
下町
(
したまち
)
に
残
(
のこ
)
されたのは、 まだ見ぬ
地底世界
(
ちていせかい
)
へと
通
(
つう
)
じる
大穴
(
おおあな
)
が、一つだけ。 それはそうと。 異端ノ魔導師は一人で行ってしまったのに、どのようにして
追跡
(
ついせき
)
するつもりなのだろう。 わざわざ
別動隊
(
べつどうたい
)
を
組織
(
そしき
)
した
理由
(
りゆう
)
についてもそうだが。 クロイツからは
未
(
いま
)
だ何の
説明
(
せつめい
)
もされていない。
当国
(
とうこく
)
の
偽派閥
(
にせはばつ
)
も、すっかりと
機能
(
きのう
)
を
失
(
うしな
)
った。
杜ノ主
(
もりのあるじ
)
に
取
(
と
)
り
入
(
い
)
るため。
帝国
(
ていこく
)
と
内通
(
ないつう
)
してきた
人員
(
じんいん
)
の
多
(
おお
)
くが、 本当の
意味
(
いみ
)
で
買収
(
ばいしゅう
)
され
敵対
(
てきたい
)
した
結果
(
けっか
)
。
王党派
(
おうとうは
)
、
筆頭格
(
ひっとうかく
)
であるはずの
紳士
(
しんし
)
こと、アンドレイの心が
折
(
お
)
られてしまった
現状
(
げんじょう
)
。 いつの
間
(
ま
)
にやら、
消息
(
しょうそく
)
を
絶
(
た
)
ったウルクアの
指示
(
しじ
)
など
仰
(
あお
)
ぎようもなく。
今後
(
こんご
)
の
方針
(
ほうしん
)
について、どうすべきか
悩
(
なや
)
む。
要
(
よう
)
するに。
彼
(
かれ
)
がウルクアの
密命
(
みつめい
)
を
受
(
う
)
けたのは、 それぞれが
事
(
こと
)
を
起
(
お
)
こすより
以前
(
いぜん
)
の
話
(
はなし
)
であるからして。
魔導兵
(
まどうへい
)
を
狙
(
ねら
)
う
王党派
(
おうとうは
)
と、 それを
阻止
(
そし
)
したクロイツ
一行
(
いっこう
)
が
対峙
(
む
)
き
合
(
あ
)
った ...あの時。
彼自身
(
かれじしん
)
は、あくまでもフェレンスを
見張
(
みは
)
っていたに
過
(
す
)
ぎない。
応変
(
おうへん
)
に
対処
(
たいしょ
)
せざるを
得
(
え
)
なかったのは
勿論
(
もちろん
)
。 こんな
事
(
こと
)
になるとは思ってもみなかったのだ。
剰
(
あまつさ
)
え。
偶然
(
ぐうぜん
)
、
居合
(
いあ
)
わせたにしては
出来過
(
できす
)
ぎているため。
誰
(
だれ
)
もが
事前
(
じぜん
)
に
仕組
(
しく
)
まれていたものと考えているよう。 だが、もしそうだとすると ...
彼
(
かれ
)
、ヴォルトを
誘導
(
ゆうどう
)
できた
人物
(
じんぶつ
)
は
一人
(
ひとり
)
しかいない。 彼が
脳裏
(
のうり
)
に思い
浮
(
うか
)
かべる
人物
(
じんぶつ
)
は、
謎
(
なぞ
)
めく
因果
(
いんが
)
に
呼
(
よ
)
び
寄
(
よ
)
せられた ... あの、
魔導師
(
まどうし
)
。 フェレンスは何のため、
何時
(
いつ
)
の
頃
(
ころ
)
から、ウルクアに
対
(
たい
)
し
協力的姿勢
(
きょうりょくてきしせい
)
を見せていたのだろう。
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嵩都 靖一朗
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