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第11話

(……熱い…っ) 直に触る眞司のソコは既に勃起していて熱かった。 僕の手の中でドクドクと脈打っている、眞司のモノ…。 怖くなった僕は手を引っ込めようとしたが、眞司がそれを許してくれない。 それどころか…僕の手を掴んだままゆるゆると動かし始める。 「…や…止めて…」 涙目になりながらようやく絞り出した僕の訴えの声を、眞司は無視した。 「…止め…ん…っ…」 僕の弱々しい抗議はまたしても、眞司の唇に塞がれた。 眞司の唇にぼーっとなっている間に…僕のズボンと下着は脱がされていた…全然、気付かなかった…。 その事に気付いたのは、眞司の指が僕の後ろの蕾にツプッと入った時だった。 「……………………………っ!!」 それは…それまでの夢見心地なキスを現実に引き戻す程の驚きだった。 そんな…自分でさえ触った事がない場所に…あの眞司が触って、オマケに蕾の中に指を入れられている…そのショックと衝撃。 いきなりの事に、僕の頭は真っ白でパニック寸前。 男同士がどうやるのかは知識として知っていたし、先程の眞司と会長がヤッている場面も見たけど…まさか、自分が…とか、あんなに憧れていた眞司が僕に…とか、今、この図書室で…とか、頭の中がごちゃごちゃで…。 ただ…怖くて…動く事も怖くて…逃げなくちゃ…とか、頭の片隅で警報が鳴っていたけど…動く事ができなくて…。 ただ、眞司の服を握り締めている事しかできずにいた。 「…ん?…痛い?…もう少し我慢しような?…我慢、できるだろ?…ん?」 キスの合間、合間にそう優しく言われて…僕は何か考えるよりも先に頷いていた。 「…う…っ…ん…っ…あ…」 僕の中を動き回る指が、気持ち悪くて涙が滲んでくる。 「もう少し我慢したら、気持ち良くしてやるから…大丈夫だろ?…我慢、できるよな?」 眞司は宥めるように、涙を流す僕の額や頬にキスを繰り返す。 …ここで嫌だ…とか、止めて…とか僕が言ったなら、きっと眞司は僕の事など今までと同じように何にもなかったみたいな顔をして、知らない顔をするんだろう。 …そう思うと僕は眞司に嫌われたくなくて、頭の片隅で鳴っていた危険信号を気付かない振りをした。 「…う~ん、もう少し足を開いて…開けるよな?」 僕は眞司に喜んで貰いたくて言われるままに足を開く。 「よしよし、いい子だな…もう1本、指、増やすから…力を抜いて」 (…眞司に褒められた) 僕は褒められた事が嬉しくて…もっと褒めて欲しくて…眞司を失望させたくなくて…眞司の言葉にコクコクと何度も頷く。 「じゃ、さ、少し自分の扱いて見せて?」 眞司の言葉に顔が紅くなるのが分かって、俯く。 「…僕…あまり…しないけど…」 眞司に小声で断ると躊躇う事なく、僕は自分のペニスに手を伸ばしゆるゆると扱き始める。 眞司がクスリと笑う。 「自分であまりしないんだ?…いいよ…そのまま扱き続けて」 耳元で眞司に囁かれて、ゾクリとする。 眞司が僕にキスをして、触ってくれるなんて…気紛れかもしれない…今日だけかもしれない…それでもいい…。 気紛れでも…夢でも…幻でも…何でも。 あれ程憧れて…遠くから見る事しかできなかった眞司が今、目の前にいて…僕にキスして…僕に触っている…。 (…今なら許されるだろうか…) 僕は眞司肩にそろそろと顔を近付け、甘えるように首筋に鼻を擦り付ける。 …何も言われない事に気をよくした僕は、眞司の香りを思い切り吸い込む。 (眞司に包まれている気がする…) …夢なら、冷めないで…。

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