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バイバイー3
「……なっ!?……どっ!?……ねっ!?」
「…おはよ」
玄関には確かに寧音がいて、僕に笑いかけてくれた。
「…あ!すぐ!すぐ着替えてくるから!待ってて!そこ、動かないでね!…待っててよ!」
寧音に見惚れていた僕は、でも、一瞬後には自分がまだ着替えていない事に気付き、寧音を振り返りながら二階の自分の部屋に向かう。
自分の部屋に入った途端、急いで着替えて鞄を掴み、僕を待ってくれているはずの寧音の元へ………。
「隼人!!朝ご飯は食べて行きなさい!」
母親の大声が聞こえた。
「いらない!!」
僕も、大きな声で返した。
「朝ご飯を食べないと、授業に身が入らないでしょ!!」
母親の大声。
…あ~、もう!
寧音が笑っているじゃないか!!
恥ずかしい!!
「…食べて来ていいわよ、私、待っているから」
顔を赤くして寧音を見ると、寧音はニッコリと笑う。
そんな寧音が天使に見える。
…やっぱり、寧音は優しいな~。
クラスが別れて落ち込んでいる僕を慰めようとして家まで迎えに来てくれて…オマケに朝ご飯を食べるのまで待ってくれるなんて。
ヤバい。
………もしかして僕ってば、自分が思うよりも寧音に愛されてる?
「…何、ニヤニヤしているの、気持ち悪い。ごめんなさいね、寧音ちゃん。うちの馬鹿息子が迷惑かけて…まだ、時間あるでしょ?珈琲でも飲んで待ってて…時間が来たら隼人の事なんか放っておいて先に学校に行っちゃっていいから。それまで」
「…え…でも…」
「いいから。入って」
「…じゃ、お邪魔しま…」
「…おまふぁへ」
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