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バイバイー4
母親が寧音と玄関で話をしている内に、僕はダイニングへ急ぎテーブルの上に置いてあったサラダと目玉焼きを急いで口の中に入れ、牛乳で流し込みパンを片手に寧音が待ってくれている玄関へ急いだ。
この際、母親の冷たい視線は気にしない。
右手にパンを左手で寧音の手を取り、家を出る。
「……ちょ…ちょっと待って、手が………」
「………あ、ごめん」
気が付くと僕は寧音の手を握り締めていた。
慌てて手を放した僕を見て寧音がクスリと笑う。
「…ついてる…ここ」
寧音が自分の口許を指差して教えてくれる。
慌てて口許を拭う僕。
「………ありがと」
寧音の顔を見て礼を言うのは照れ臭いので、前を向いたまま言う。
「………何?」
………寧音には通じなかったみたいだ。
「……別に」
僕は寧音の優しさに感謝している。
唆されたとはいえ………寧音にあんな事をした僕を許してくれて…なおかつ、今日も僕を迎えに家まで来てくれるなんて。
僕って、自分が思っているよりも寧音に愛されているじゃん~なんて。
そう思うと、落ち込んで沈んでいた気持ちも浮上してきた。
学校へ行きたくないと思っていた暗い気分が一気に明るくなり、スキップしたい気分で寧々と並んで学校への道を歩く。
嬉しくて、くだらない事を喋りまくる僕。
そんな僕の話を笑いつつ聞いてくれている寧音。
う~ん。
幸せかも。
思わず寧音の周りをスキップしたくなるほどには。
僕が寧音と一緒に登校できる幸せを噛み締めていたその時………。
「おっはよ、お二人さん」
ラブラブな二人の間に割り込んできたお邪魔虫が一匹………いやいや、一人。
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