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バイバイー10

「………寧……」 教室の扉の隙間から寧音を呼ぼうとして。 止めた。 何故なら寧音も皆と同じように参考書を睨みながらお弁当を食べていたから。 僕は黙って教室の扉を閉めると、踵を返した。 あんなの僕の知っている寧音じゃない。 僕の知っている寧音は箸を片手に参考書を睨めっこなんか、しない。 いつも少し余裕があって。 いつも笑っていて。 昼休み…いつも一緒に食事…していたのに…。 …そうか…。 これからは寧音と一緒にご飯、食べられなくなるかもしれないんだ………。 楽しみにしていたのにな………。 僕は教室の自分の席に座ると、一旦、片付けた弁当を取り出し黙って食べ始めた。 教室内にいる友人達がそれを見て、「屋上で食べないのか?」と聞いてきても無視して黙々と弁当を食べながら先ほど見た寧音の姿を思い出す。 教室内を覗いた僕に気付かず、弁当を食べながら参考書を睨んでいた寧音。 …なんだか、寧音を遠くに感じてしまって寂しい。 寧音と一緒に弁当を食べる事のできる昼休みを楽しみにしていたのは僕だけだったのだろうか……………。 ……………………………………………………。 …………………………。 ……………。

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