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バイバイー15

「…分かった…」 口から出た言葉は、気持ちとは反対の言葉で…。 「…そうだよな、寧々は今が一番、大事な時期だもんな…うん、いいよ。少しの間、距離を置こう。」 本当は距離なんか、置きたくない。 そう思っているのに、反対の言葉がスラスラと口から出てくる。 だって…距離を置けば、自然消滅してしまう。 ………もしかして、寧音はそれを狙っているのだろうか。 …………………………。 ……………。 ………いやいや。 寧音に限ってそれはない。 うん。 絶対、ない。 治夫も言っていたじゃないか。 最近、思うように成績が上がらなくて寧々は焦っているって。 だから…本当に、勉強を頑張りたいから、その間…少しだけ…離れていようと言っているのかもしれない。 僕は自分に言い聞かせ、頷く。 …そうだよ。 別に、別れようと言われたわけじゃない。 少しの間、離れるだけ。 …寧音を信じて、待とう。 だから。 笑って言うんだ。 「勉強、頑張って」 …上手く笑えているだろうか。 「…ごめんね」 「…やだな…」 …謝るなよ。 謝ると、最後みたいだろ。 僕が振られているみたいじゃないか。 …少しの間、離れるだけ。 別れるわけじゃない。 そう。 僕なら大丈夫。 …受験が終わるまで。 受験が終われば、以前の関係に戻れる。 きっと、戻れる。 だから。 それまで。 バイバイ。

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