58 / 144

恋と嘘と現実とー17

-それからどこをどう歩いたのか………。 (………ここ……) 気が付くと、いつの間にか学校の校門前に来ていた。 放課後の校舎からは合唱部の練習している歌声や、校庭からは運動部の声援などが聞こえている。 (………そうか……) そういえば治夫との思い出って、学校しかないんだよな。 校舎を眺めながら思い出す。 幼い頃はお互いの家を行き来していたらしいが、憶えていないし…小学校に上がった頃から家はおろか、外で会った事もない。 他の友人とは、外で遊んだ事は何度もあるのに。 「…一度くらい遊んでおけばよかったな」 こんな事になると知っていたなら。 僕はひとつ溜め息を吐くと、とぼとぼと家路についた。

ともだちにシェアしよう!