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瞳の中、君にー11
…アイツ…名前は何て言ったか…松山…ナントカ…。
アイツ…隼人と同じクラスメイトだか何だか知らないが、隼人にベタベタしやかって…。
隼人も隼人だ。
俺の事は避けるくせに、アイツとは一緒に居るって、どういう事だ。
―俺は、イライラしていた―。
隼人は、俺を避けるし。
最近は俺の姿を見るなり、脱兎のことく逃げていく。
そのくせ、他のヤツとは仲良くしてるし。
オマケに、少しづつ距離を置こうと思っていた寧音は、ますます俺と一緒に居ようとするし。
イライラ。
イライライライラ。
イライライライライライラ。
だから、つい、寧音に冷たく接してしまう事がある。
「………ねぇ、治夫ったら!」
俺を呼ぶ声に、顔を上げる。
「…何?」
寧音が俺の机の横に立って、笑っている。
「早く帰ろう?」
考え事をしている内にSHRも終わり、教室内には最早、数人しか人が居ない。
「…別に俺を待たなくてもいいから、先に帰ってろって言っただろ」
いつもは心の中で吐いていた溜め息を吐いて冷たく言った俺に寧音は一瞬、傷付いた顔をした。
俺はそれに気付かない振りをして、鞄を手に席を立つ。
「…待って!」
俺がその場から、立ち去ろうとした時。
寧音が、俺を呼び止めた。
「…最近、治夫、隼人に避けられているでしょう?私、その理由、知っているんだ。知りたい?教えてあげましょうか?」
―いつもなら、そんな必要ないと断っていた寧音の言葉。
知りたければ自分で隼人に直接、聞くからと。
だが。
その時の俺は。
理由を聞こうにも隼人に避けられ、掴まえる事ができない。
最近は、隼人に会う事すらできない程、徹底的に避けられている。
―訳が分からない―。
そんな状態に疲れていた。
だから。
つい。
寧音の言葉に、頷いてしまった。
―そして、寧音に見せられた…細く開けた教室のドアの隙間から見た光景―。
圧し殺した…呻き声。
重なり合う人影。
肌と肌がぶつかり合う音。
何をしているのかなんて、一目瞭然だった。
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