132 / 144

泣かないで、マイ・ラブ-2

-次の日。 私がしたことは。 彼がどこの誰なのか調べる事。 でも、私が調べなくても彼の事は分かった。 私の数少ない友人が彼の事を知っていたのだ。 法学部3年、佐藤治夫。 私が知らなかっただけで、入学当初から彼は有名人-皆(主に女性…と何故か?数人の男性)の注目を集めていた人物だったらしい。 反対に私が3年間も彼を知らなかった事に驚かれ、呆れられ、二次元にしか興味がなかった私の事だから仕方ないか…と諦めの溜息を吐かれたけど。 友人曰く、彼は難攻不落のクールビューティー(あくまでも友人談)だそうで。 今まで何人もの女性が彼を落とそうとしたらしいけど、その全てをスルー。 皆が当たって砕けて散って。 極めつけは、ミスN大の告白。 なんと佐藤治夫は皆の憧れ、ミスN大の告白をもあのクールな瞳で一蹴。 それ以来、恐くて誰も告白できなくなり、遠巻きに彼を眺めているだけ。 らしい。 聞くところによると、彼の住んでいる寮の部屋を時々、可愛い女性が彼女だと言って訪ねて来る。 最初は彼女かと噂になったらしいが…どうも彼女じゃないらしい 何故なら、彼女が訪ねて来る度に彼はいつも彼女を門前払い。 寮を振り返りながら帰る彼女の後ろ姿はとても淋しそうだった。 ………と。 まるで見てきたかのように友人は彼-佐藤治夫の噂話を私に得意げに話して聞かせてくれた。 「………で?結局、彼に付き合っている人はいるの?」 まだまだ続きそうな友人の話を途中でぶった切り、私は一番聞きたい事を友人に問う。 噂話はどうでもいいのよ。 肝心なのは今!彼に付き合っている人がいるか、どうかよ!! 「…全く…二次元にしか興味がなかった夢見る夢子ちゃんが現実の異性に目覚めた途端、これだから…」 「いるの!?いないの!?」 噂話大好きな友人は話を遮られた事が気にいなかったらしく、ブツブツと文句を言っていたが、私がズイッと身を乗り出し問うと、渋々と答えた。 「………あんなに格好いいんだし…いないわけはない、と思うんだけど…どうだろ…なんせ自分の事は全く喋らないらしくて、謎なのよね~。あの、ミスN大が振られた時に悔し紛れに彼女はいるのかって聞いたらしいんだけど、ニッコリ笑ってスルーされたらしくって…それ以来、誰も恐くて聞けないんだって」 ………………あんなに延々と彼の噂話をしていたのに、肝心の事は分からないって………。 あり得ない~。 今まで話していた噂は何なのっ!! 肝心なところが分からないなんてっ!! ………しょうがない。 これは自分で何とかしろって事か。 …………………………マジで?

ともだちにシェアしよう!