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泣かないで、マイ・ラブ-8

-その日の朝。 私はいつもより早く起きて。 シャワーを浴び、しっかりと朝食を作り、食べて。 気合を入れ、時間をかけて髪をセットし、薄く…でも、いつもよりは念入りに化粧をして。 玄関のドアを開けた。 今日。 この日。 私は一大決心をして家を出た。 『…今回、特別なのは何故なんだろうって…』 塔野の一言に。 “……特別………………。” 自信をもらって。 私は。 今日。 佐藤治夫に。 ……こ…こ…こ、こ、こ…こここ告白をする!! ……………ちょっと……緊張しているけど。 ………電車が大学に近付くにつれて心臓の鼓動がうるさい程、早くなっているけど。 『……………次は○△駅~、○△駅~、……………』 降りる駅が聞こえてきただけで、緊張のあまり、心臓が口から飛び出しそう。 電車から下車し、改札口へ向かう列の中、私は佐藤治夫を見つけた。 と同時に、思わず彼に見付からないように人混みの中へ紛れ込む。 (………はっ!!……いけない、いつものクセで隠れてしまった) そうよ、別に隠れる事なんか………今日は私は彼に堂々と(?)告白をするんだから!! そ、そうよ………だから………堂々と……………い、いや……平然と?………まって…………さりげなく………? そうね、それでいこう。 あくまでも……さりげなく……片手を上げて……『やあ、おはよう、佐藤君』……って感じで……うん、よし。 決心した私が人混みから抜け出そうと1歩、足を踏み出した時。 「………治夫!!」 私を軽やかに追い抜いて1人の女性が治夫の元に駆けていった。 (治夫って………呼び捨て!?) 治夫に駆け寄り、彼を見上げる顔は、女の私でも見惚れるほど可愛くて………。 ……………って…………………………誰!?

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