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泣かないで、マイ・ラブ-11
『俺、彼女と付き合っているから』
そう言われて。
きょときょとと周りを見回してしまった。
私達の他に、誰かいるのかと思って。
でも。
私達の他には誰もいないし。
治夫は先程から私の肩を抱いて離さないし。
彼女は呆然とした顔で治夫に肩を抱かれている私を凝視しているし。
というか。
私の方を見た途端、吃驚したように目を見開き食い入るように私の顔を見詰めている。
…見られている私の方が恥ずかしくなるくらい。
(……何?私の顔に何かついている?)
顔を手で触ってしまう。
同じ女性でも、美人に顔を見詰められると…なんか落ち着かない。
腰のあたりがもじょもじょする…。
(…っていうか、そんなに見詰められると、いいかげん顔に穴が開くんですけど)
…治夫と私じゃ釣り合わない事は分かっているけど、そんなに私の顔を凝視するなんていくらなんでも失礼じゃない?
そう思った時。
「……最っ低………っ!!」
彼女の吐き捨てるような声に。
驚いて顔を上げると。
彼女は私から治夫に視線を移していた。
でも、それは-。
好きな人に向ける瞳とは程遠い。
憎んでいるみたいなキツい瞳。
その瞳で。
彼女は治夫を睨みつけていた。
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