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泣かないで、マイ・ラブ-14

どうしてあんな事を言ってしまったのか…。 『付き合っちゃいましょうよ………もちろん、偽の彼、彼女として………』 -おかげで皆の視線が痛い………。 治夫と私が偽の恋人同士になろうと話し合ったたのは今朝の事なのに………何故か昼には既にキャンパス中に知れ渡っていた。 (………ああ………覚悟はしていたけど、おちおちランチもできやしない………) 学食へ行った時の皆の視線が痛すぎて、逃げるように屋上へ………行こうとしたけど、屋上へ出る扉に鍵がかかっていて………その扉の前でランチを………といっても、学食で買ったサンドイッチだけど……をひとり、もそもそと食べている………。 (………でも、後悔はしない) -あの時。 治夫の好きな人が、私に似ていると知った時。 (………チャンスだと思った) -だって。 「………こんな所にいたのか」 -ほら。 階段を駆け上がってくる音に続いて、治夫の優しい声。 振り返ると、治夫の眩しい笑顔が私を見上げていた。 「捜したよ」 「………どうして………?」 驚いた顔をしてみせた私に、当然のように治夫が答える。 「ランチ、一緒に食べようと思って」 -恋人同士なんだから。 (………そう、嘘でも皆の前では私達は恋人同士) 恋人同士のように振る舞う。 治夫の側にいて、治夫と話す。 誰よりも近くで。 治夫に好きな人がいる事は知っている。 -私に似た人。 (………だから) -治夫の側にいたら。 (………もしかしたら) 頭の中で私の中の悪魔が囁く。 -遠くの恋人より、近くの他人(恋人に似た)。 -嘘から出た誠。 (恋人の振りを続けていれば……………) ……………もしかしたら。

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