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泣かないで、マイ・ラブ-13

「……ごめんね……彼女を諦めさせる為とはいえ…彼女なんて嘘、言っちゃって……」 (………え、嘘!?…あれ、嘘だったの!?) ………少しガッカリしてしまう。 治夫に彼女と言われて、私、自分でも知らない内にいつの間に彼女になったんだろうと期待……いや、ドキドキしてしまった自分に溜息を吐く。 (……そうよね………そんな夢みたいな事、あるわけない………) 「彼女、少し思い込みが激しくて………諦めさせる為につい……君を利用させてもらった」 (………………利用……………) 「………君………似ているから………」 (………似ている……) ………誰に………とは聞かなくても、なんとなく分かった。 -手紙を愛しそうに見詰めていた治夫が思い出される。 (………私に似ているんだ………) 「………でも、君にとっては迷惑だよね………ごめん……」 (………迷惑………なんかじゃない) 「……彼女にはあれは嘘だって連絡入れておくよ、だから安心して……でも、もし、彼女から君に何か言ってきたら……」 「いいです!!」 自分でも、思わず大きな声が出た。 「……………え?」 ほら、彼も吃驚した顔をして私を見ている。 「………訂正しなくて……………嘘のままで……彼女………彼女の振り、どんとこいです!!」 ………何を言っているんだ、私は~!? 「………いや、でも………」 ほら、彼も戸惑っているじゃん!! 「………いや~、私も今、男性につきまとわれて困ってたんですよ~」 ………どこにいるんだよ、そんな男性!! 「だから、私も偽の彼氏が欲しかったところなんです」 ………確かに、嘘でも偽でも彼と付き合えたら嬉しいけれども!! 「お互い嘘の彼、彼女が欲しい者同士、いいと思いません?」 何がいいと思いません?だ!! そんなすぐバレるような嘘。 「付き合っちゃいましょうよ………もちろん、偽の彼、彼女として………」 ………オー、マイガッ!! 誰か私を止めて~!!

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