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 二人の猛烈な勢いに、その場に居た幹部達は面食らったように黙りこくっている。  事務所にマイナスイメージを付けた聖南に、どうにかして社会的制裁を加えなくてはと意気込んでいたのだが、アキラとケイタの猛反発を受けてすっかり怯んでしまったのだ。  聖南が二人を座らせ、顔を見合わせて頷いてやると空気がガラリと変わったのが分かる。  仕方ないと諦め、どんな処分も覚悟するつもりでいた聖南も、二人の熱意ある言葉達を聞いて目が覚めた。 「当事者である俺がこんな事言うべきじゃないの分かってますけど、俺の謹慎は仕方ないとして、CROWNの活動停止は考え直してほしいです」 「だ、だが……」 「アキラとケイタはもう知ってると思うけど、俺はもう昔の俺じゃないんで。 今世の中に出てる俺のスキャンダルは今後一切ないって断言します。 この傷が完治したらCROWNとして活動させてほしい」 「今後一切ないと、なぜ言い切れる?」  それまで一連の流れを黙って聞いていた社長が、急に口を挟んできた。  その瞬間、聖南は勝機を見た。 「心に決めた人がいるからです。 そいつのためにも、俺は立ち止まるわけにはいかないんです」 「信じられないな」  フッと笑う社長に、聖南も唇の端だけを上げて笑い、挑戦的に幹部達を順に射抜いていく。  もう好きに言わせないと強く念じながら。 「俺の仕事はこっからだ。 この事務所もっとデカくしてやりますよ。 俺を切るのは結果が出なかったらでも遅くないはずです」  これまでの実績から考えて、聖南の言わんとする事がその場に居た全員にも伝わったはずで、バッシングなど意に介さない、それ以上に世論を納得させる仕事をしてみせると聖南は意気込んだ。  唯一無二の愛すべき者、頼れる大切な仲間、その存在があるだけで、聖南は生きている意味を見出だせた。  高圧的とも取れる聖南の瞳に闘志を見た幹部達は、一様に黙り込む。 それ以上の文句を垂れる者はいなかった。

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