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39☆ 8・大塚事務所主催、仮装パーティー♡

 二人とハルうさぎと合流したケイタは、アキラがやけにハルを見詰めている事に気付いていたが、ひとまず静観する事にした。  今日のパーティーは舞台側と奥とで仕切りがあって、舞台側は立食、奥側は丸テーブルでゆっくり食事が出来るスペースが設けられている。  仮装パーティーともあり、皆一様に衣装を見せ合うために大体は立食で済ませているので、テーブル席は半分ほどしか埋まっていなかった。  前回の教訓で、立ちっぱなしで足が痛くなっては困るとセナはハルを連れてそのテーブルに陣取っている。 「……ねぇ、聖南さん。恭也探してきちゃダメですか?」 「ダメ」 「何でですかっ? さっきからダメしか言わないんですけど!」 「そんなかっこでウロチョロすんな。その耳ヤバすぎ」 「はぁぁ??」  衣装の可愛さもあるが、動く度に揺れる長い耳と、そして持ち前の小柄さでハルは非常に危なげな雰囲気を纏っている。  ハルの事が心配でウロウロさせたくないのは分かるが、飲み物も食べ物も好きに取りに行かせてもらえないとは少々可哀想だった。  おまけに、はぐれたままの恭也が心配のようで、うさ耳を揺らしながらしきりに立食側の方を気にしていた。 「ハル君、俺が探してきてやろっか。恭也はどんな仮装してた?」 「ほんとですか! えーっと……黒ずくめで、マントしてて、なんか長い棒みたいの持ってました。こう……シャッて出来そうなやつ」  その場で立ち上がって何かを振り下ろすような動作をしたハルを、セナとアキラが愛おしそうに見ていて、ケイタは訝しむ。  セナはいつもの事だからともかく、アキラまで様子が変だ。 「分かった。シャッて出来そうなやつ持ってる黒ずくめの男探したらいいね」 「はい、お願いします! ありがとうございますっ」  やっと目を見て話してくれるようになったハルから微笑まれ、悪い気はしなかった。  顔見知りになって半年ほどが経ってようやくなので、どれだけハルがケイタに壁を作っていたかが分かる。  セナが男であるハルと付き合っている事も大分後から知ったので、実質的に会話をしたのはほんの三ヶ月くらい前からだろうか。  ケイタはずっとハルの事を女性だと勘違いしたままセナの話を聞いていて、レコーディングスタジオで顔合わせをした際の驚愕は今でも忘れられない。  思わずその場でアキラとセナに文句を言ったけれど、ハルの容姿を見ればセナのドンピシャだなとすぐに納得した。  化粧をしていないモデル達のスッピンよりも遥かに華のある顔立ちと、小柄さ、素直さ。  ネガティブで卑屈だったという内面もひっくるめてセナの心を捕らえて離さないハルは、セナにどれだけ縛られていてもどこか嬉しそうだから、可哀想だと思うのは間違っているのかもしれない。  遊び相手は何人かいるものの、ケイタもまた、今までに恋愛経験というものが無いのでそこら辺はよく分からなかった。

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