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40♡ 6P

40♡ 6P いつまでもサラダを咀嚼している俺の肩を抱き寄せた聖南が、その手でうさ耳に触れながらフッと気障に笑いかけてくる。 「それ早くごっくんしなさい。 葉璃がセンチ入るこたねーだろ。 料理覚えたいなら俺が教えてやる。 一緒に暮らし始めたら、どっちかがメシ作って待ってるってのもいいよな」 「そうですね…! 俺がんばって覚えますから!」 聖南が俺と一緒に暮らしたいって言ってたの、実は俺はまだ早いんじゃないかって思ってた。 出会ってからも、付き合ってからもそんなに経ってないのに、なんでそんなに事を急ごうとするんだろうって。 でもそれは、ひとりぼっちだった聖南が俺を恋人として愛してくれた瞬間から「四六時中一緒にいたい」と思ってくれたって事で。 聖南の本音は分からないけど、要するに、家族になりたいって言ってくれてるようにも思えてならなくなった。 「おい、いい加減センチから戻って来い。 んな顔させるつもりなかったんだけど…」 大量の料理を見詰めたまま動かない俺を、眼帯姿の聖南が覗き込んできたからハッとして、フォークに鴨のたたきを乗せた。 「すみません…。 聖南さん、俺のデビューとか色々落ち着いたら、一緒に暮らしましょうね。 俺は聖南さんからたくさん学ばないといけないから、めんどくさいって思われる事もあるかもしれないけど…」 「ん。 だから一緒に住むんじゃん。 葉璃だけじゃねぇ、俺も葉璃から教えてもらわなきゃならねー事ある」 「俺は何も教える事ないですよ…?」 「んや、……ある。 俺はそれが一番欲しい」 もぐ、とたたきを食べていると、聖南がジッと俺を見ている事に気付いてドキッとした。 あんまり意味深に見詰めてくるから、鴨肉が喉を通らない。 「な、何ですか、それ……?」 「まぁそれは後々分かる。 今はこれ食うぞ。 夜通しやるためにはしっかり食っとかないとな」 俺が聖南に教えてあげられる事って、何なんだろう。 とても思慮深い謎を解き明かそうとしたのに、隣でスパークリングワインを飲む海賊がギョッとする事を言うから、なかなか食が進まない。 「夜通しは無理ですって!」 「やってみなきゃ分かんねーだろ。 休憩挟むから」 「休憩くれた事ないですもーん!」 「あ? やってるだろ、俺動かない時が休憩」 「それ休憩って言わないですよ…」 聖南が入ったままだったら、そんなの休憩じゃない。 いつも感じ過ぎて死にそうって思いを味わわせてくれるから、度々意識を手放してしまうけど、聖南はそれも許してくれない。 堕ちた瞬間に叩き起こされる。 聖南と家族になりたい、そう思うのは決して嘘じゃないけど、一緒に暮らしたら夜の生活が怖いって慄いてしまうのは当然の事だと思う。

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