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41★ 6・葉璃の周りは賑やかです。
葉璃の様子がおかしくなって一時間半後、ようやく葉璃の前の番号が呼ばれた。
ボーッとしたまま俺に寄り添っている葉璃に、「次だよ」って声を掛けると、無言で頷いてまた一点見詰めが始まった。
葉璃に声を掛けた当初を思い出して、懐かしい。
あんまり視線を合わせてくれない、ロクに話もしてくれない、そんな状況。
俺は葉璃と無言の時間が流れてもまったく気にならないし、隣で葉璃の体温を感じられるだけで充分だ。
どうしてこんなに様子が変になってしまったのかは分からないけど、少し時間を置けば話してくれるはず。
ぽんぽんと葉璃の頭を撫でて、ふと窓の外が騒がしくて目をやると、来るだろうと予想していた通りセナさんとアキラさん、ケイタさんの姿が院内へと入ってきているのを確認した。
わざわざ三人まとめて来るなんて思わなかったから、これは相当、葉璃は驚くだろう。
キャーッという受付の女性達や看護師さんが騒ぎ始めて、三人が院内へ入ってきたんだなって分かった。
この調子では、葉璃だけじゃなく院内も騒然となりそうだ。
「……何? 悲鳴?」
葉璃は入り口でのただならぬ騒ぎに、何か事件的なものを感じたらしく、グイッと俺の腕を掴んでしがみついた。
「違うよ、……見て」
「え……?」
俺が指差した先に三人が現れると、しがみついた葉璃の力が一層強くなって、パチパチと繰り返し瞬きをした。
信じられない、何でこんなところにいるんだ、表情がそう言っている。
「な、なん……!?」
「葉璃、大丈夫なのか?」
「ハルー久しぶりー」
「ハル君! 病院だなんて、一体どうしたんだよ」
驚く葉璃へ三人が交互に声を掛けると、満席となっていたはずの椅子が俺達の周囲だけポッカリと空いた。
やって来た三人の圧とオーラに圧倒された患者達が、その場所をいそいそと空ける様を見ていた俺は、そこで初めて苦笑を浮かべた。
まさか三人で来るなんて思わないもんなぁ。
「なんで居るんですかっ? しかもアキラさんとケイタさんまで……!」
「俺ら早朝からロケでね。時間空いたらハル君のとこ行くってセナが言うから、どうしたんだって聞いたら病院だって」
「そうそう。俺らも気になってロケどころじゃないから、二時間もらって来た」
「えぇ!?」
「……ま、そんな感じ。アキラとケイタも来るって聞かねぇから、成田さんまで来てる。ほら、あそこ」
セナさんが指差した窓の外に、向こうから手を振るCROWNのマネージャーの成田さんが居て、総出で葉璃の元へやって来た事に俺も驚愕した。
葉璃が遠慮してセナさんに今日の事を話さないだろうから、良かれと思って伝えようとしただけなのに、何だか大事になっている。
来るとしてもセナさんだけだと思い込んでたから、これはまったくの予想外だった。
「あのー、倉田葉璃さんの付き添い……でしょうか? 人目がありますので、こちらの個室でお待ち頂けますか?」
受付の女性が興奮気味に三人ともが出て来て、騒ぎを大きくしないためにと俺達は簡易ベッドのある個室へと連れて行かされた。
そりゃあ、……そうだよね。
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