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43♡ 2P

43♡ 2P 深く沈み込むタイプのソファは、座り心地はいいけど一度座ると立ち上がるのが億劫だ。 だけど一度だけ飲み物を買いに会議室を出て、また沈んだ。 こっそり隔週欠かさず聴いてるCROWNの冠ラジオ。 CROWNの曲も、他のアーティストの曲も流しながら、リスナーからのメッセージを三人で読んで会話を広げていく。 アキラさんとケイタさんは気持ち抑えめなのに対し、聖南はほんとに普段と変わらない口調で、まるで聴いてる俺に話し掛けてきてるみたいな錯覚をいつも覚える。 番組も中盤に差し掛かった頃だった。 話題のアーティストの曲終わりに、ケイタさんが、なぁなぁと話を振る。 『セナー触れずにはいられないくらいめちゃくちゃメッセージ貰ってる話題あんだけど、これ読んでいい?』 『何、どれ? …………構わねーよ』 『ラジオで沈黙しないで下さーい』 『アキラうるせぇ』 『ちょっと二人とも黙っててよ。 えーっと、ラジオネーム、セナも好きだけどアキラ推し、さん…他多数の方からメッセージ頂いてまーす。 ありがとうございまーす』 『え、待って。 それ俺推しなの? アキラ推しなの?』 『俺推しって書いてあんじゃん』 『なんだよ、紛らわしいな。 次送ってくる時は「やっぱセナ推しで」に変更な』 『やめろよ。 んな事言うと余計に推してもらえなくなるぞ』 いつもの掛け合いが面白くて、俺は飲んでいた烏龍茶を吹き出しそうになって危なかった。 聖南は相変わらずだ。 ちゃんと、仕事してる。 『二人ともシーッ! 読むよ? …今月のHotti色っぽくて最高でした! もう何度もツーショットでの撮影のようですが、お二人は付き合ってるんですか? だそうです、セナ』 『これ今日一番多いよな、メッセージ』 『Hotti発売日だからね。 セナー答えてあげてくださーい』 ケイタさんが読み上げて、それにアキラさんが返答しているのを聴くと、知らず肩に力が入ってしまう。 やっぱり世間の反響も凄い事になってるみたいだ。 返答を求められた聖南はなんの迷い無く、驚くべき一言を放った。 『付き合ってねーよ。 俺恋人いるし』 その場に居た一同、聴いているファンの子達、そして間違いなく俺も、みんな一斉に言葉を失ったに違いない。 『……なっ!?』 『…………………!!!』 『言っといた方がいいだろ? 誤解されるくらいならさ』 ちょっと待ってよ、待って。 聖南、何言ってんだ!?!! こんな公の場で、ラジオとは言えファンの子達が喜び勇んで聴いてるっていうのに、聖南の一言に俺は目を見開いた。 「ヤバイよ、そんな事言ったら……」 アキラさんとケイタさんも、まさかここで恋人居ます宣言をするとは思わなかったのか、息を呑んで数秒沈黙が流れた。 遠くに聴こえるBGMだけが、その場を繕っている。 こんな事、誰も予想していなかった。

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